暁 〜小説投稿サイト〜
ある晴れた日に
336部分:白銀の月その一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

白銀の月その一

                    白銀の月
 正道と未晴は真っ暗に限りなく近いその道を進んでいた。そこはコンクリートの廊下でありその脇には背のないソファーが見え壁には扉も見える。
 二人は横に並んでその中を進んでいる。未晴がここで言うのだった。
「ねえ」
「何だ?」
「ここも絶対に出て来るわよね」
 こう正道に言うのである。
「やっぱり」
「そうだろうな」
 そして正道も彼女のその言葉に頷く。目は周囲を見て警戒するものになっている。
「扉とかからな」
「今までがそうだったしね」
 未晴はここまで進んだその道のことを思い出していた。
「問題が何処から何が出て来るかだけれど」
「またゾンビじゃないのか?」
 正道は言った。
「扉が開いて急に出て来るあれな」
「またそれかしら」
「それか板に打ちつけられた死体か」
 そういうものも出て来るのである。この病院は。
「何が出て来るかな」
「どれもかなり怖いしね」
「その怖さがここの売りだしな」
「それはそうだけれどね」
 未晴はまた話した。
「それにしてもメイクが凄いわね」
「さっき出て来た人覚えてるよな」
「ええ」
 そのことを思い出して青い顔になる未晴だった。
「正直驚いたわよ」
「おたく声あげたよな」
「音橋君だって引いてたじゃない」
 未晴は彼もそうだと言い返した。
「もうぎょっとした顔になって」
「あれはなるぞ、やっぱりな」
 しかし彼はそのことを否定するどころか言い訳をするのだった。つまりそのことを認めているのである。認めているからこそ言い訳をするのだから。
「誰でもな」
「それはその通りね」
 そして未晴もそれは否定できなかった。
「右目が出ていて脳味噌まで出ていて」
「よくあんなメイクができるものだ」
「一瞬本物かと思ったわよ」
 そこまでよく出来ていたのである。このお化け屋敷のメイクは徹底している。
「内臓だって。お腹のところから」
「ゴボリだったな」
「産婦人科のところだって」
 そこのところにも話が及んだ。
「お腹から悪魔みたいな赤ちゃんが出てきて」
「悪趣味とかそういうレベルじゃなかったな、あれは」
「全くね。あれで動いたらもっと怖かったわ」
 未晴はこうも思うのだった。
「それもかなりね」
「流石にそれは難しかったみたいだな」
「けれどメス持って口が裂けた看護士さんとか」
 そういうものも出て来たのである。
「あの人美人だったから余計に迫力があったわね」
「あれも凄かったな」
 その口が裂けた看護士は正道も見たのである。
「こっちに襲い掛かってきたしな」
「子供が見れば逃げる」
 断言であった。
「絶対にな」
「だからここって子供入ったらい
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ