宇宙戦艦ヤマト2199 元爆撃機乗りの副長 7
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中の映画のコールサインだったな。駄目だ、頭の中がぐちゃぐちゃだ。帰って酒を飲んで寝よう。それが良い。疲れてるんだよ、馴れないことばっかりやってるから。切り替えないとまずいな」
空港に戻り、妻からの小言と心配する声に迎えられる。格納庫には様々な空飛ぶ骨董品が置かれている。中には最新鋭のコスモファルコンやコンペティションに敗れたブラックタイガー、映画のためだけに作られたコスモゼロなんてものも置いてある。どの機体にも乗ってきたが、こいつが一番愛着が
「どうしたの?本当に変よ」
「……なあ、この機体、いや、忘れてくれ。オレの勘違いだ」
こいつはスタントマンとして初めて空を飛んだ時に乗ってた機体だ。その映画は空戦アクションが世間に大好評で映画史に残ると評判だ。うちの会社もそれから仕事が増えて
「もういいから休みましょう。何も心配事なんて無いわ」
妻に支えられて機体から降ろされる。そのまま車に乗せられて自宅へと走る。そのままベッドに寝かされる。おかしい、頭が割れるように痛い。
「大丈夫よ、何も考えなくていいの」
壁にかけられている写真に写る彼らは、誰だ。知っているはずなのに、おかしい。戦友?オレは兵士じゃない。ただ、空を飛ぶのが好きな男だ。酒だって、本当は好きじゃない。アレはただのルーティンなんだ。アルコールが回れば寝れる。そう思い込んで寝るんだ。ああ、そうだ。だから、今酒を用意している妻の姿をした誰かを、サイドテーブルに置かれていたナイフで突き刺す。
「優樹、どうしたんだい?」
兄に肩を軽く叩かれて意識がはっきりする。
「……いえ、少し疲れているだけでしょう」
「今の仕事がうまく行ってないのか?」
「いえ、そんなことはありませんよ。トラブルは多いですが、充実しています。信頼できる上司にも恵まれていますし」
まあ、私生活が酷いですが。はて、何故私生活の酷さを知っているのでしょうか?飲み会で倒れたのを連れ帰ったんでしたっけ。奥さんが亡くなってから掃除が殆どできていないんでしたか。
「おやぁ、優樹にもとうとう春が来たのかな?」
「一回りも年上相手にそんな感情はありませんよ」
「本当にそうかな?ただ単に諦めてるだけなんじゃないのかな?」
「さぁ、どうでしょうね」
さて、どうしましょうね。私は子供が嫌いだ。憎いとすら思っている。それが普通に抱っこして、しかも兄に男のことでからかわれる。あり得るはずがない。兄は私より不出来な人だった。いつも私に嫉妬し、両性具有で種も卵もない私を見下すことでしか心の安定を保てなかった男だ。それと笑い合っている。冗談でも笑えない。だから、抱っこしている赤ん坊を目の前にいる兄嫁に叩きつけて首を踏み抜く。
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