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色を無くしたこの世界で
第二章 十三年の孤独
第39話 翌日
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なんで……)

 「アステリならなにか分かるかもしれない」……
 そう思い、天馬はサスケと共に木枯らし荘へと駆けていった。









 木枯らし荘へ帰ってきた天馬は、さっそく自室に戻りアステリに話を聞こうとした。
が……。

「あれ」

 自室の様子を見て天馬は首をかしげる。
 朝、出掛ける時には確かにいたアステリの姿がどこにも無い。
 疑問に思い天馬は部屋を出ると、台所で朝食の用意をしていた秋に尋ねた。

「秋姉、アステリ見なかった?」
「アステリ君? それなら用事があるって言って、天馬が出掛けた少し後に出ていったわよ」
「そう……」

 現在、モノクロームに追われている身であるアステリ。そんな彼を一人で放っておくのは危険ではないか
 そう思い、探しに行こうと踵を返して、天馬は足を止めた。
 よく考えてみれば、彼がどこに行ったのか自分は知らないし。そもそも用事があるのであれば、無理に連れ戻すような事は出来ない。
 「戻ってくるまで待っていよう」、そう一つ言葉を零して天馬は一人、朝食をとり始めた。

 朝食を終え、旅立つ為の準備をしていると、ガチャッと自室の扉が開く音が聞こえた。
 扉の方に目をやると、そこには昨日までいなかったフェイが立っていた。
 「ただいま」と言うフェイに「おかえり」と返すと、天馬は昨日からずっと気になっていた事を尋ねる。

「用事の方はもう良いの?」
「あぁ。上手くいったよ」
「? どういう事?」

 そう不思議そうな顔で唱えた天馬に、フェイは「あとでのお楽しみ」とイタズラな笑みで答えた。

「ところで、アステリは?」
「なんか、用事があるって出掛けたみたい」

 ふと、壁にかけられた時計を見る。
 あれからもう一時間程経過したが、一向に戻ってくる気配はない。
 そろそろ雷門に向かわなければいけない時間なのに……
――もしかして、何かあったのだろうか……

「もしかしたら、そのまま雷門に向かったのかもしれないね」

 心配そうに時計を見詰める天馬にフェイはそう言うと、「ボク等も向かおうか」と言葉を続けた。
 確かに、このままアステリが帰ってくるまで待っていては約束の時間に間に合わない。
 今はフェイの言葉に従う事にした天馬は、着替え等の荷物が入ったバッグを肩にかけた。

「じゃあ秋姉、行ってきます」
「えぇ。二人共、頑張ってね」

 玄関で見送りに来てくれた秋の言葉に二人は強く頷くと、雷門へ向かい歩き出した。



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