第五章
[8]前話
それで二人は地下迷宮を出て犬を令嬢のところに連れて行き感動の再会の後で令嬢から言葉のお礼と多くの謝礼を受けてから彼女に地下迷宮での犬のことを話したが令嬢は二人に冷静な声でこう答えた。
「あの子は北海龍王様が飼われている犬の子孫でして」
「そやったんですか」
「はい、その為相当な強さです」
「神犬やったんですか」
「はい、ですがまだ子犬だったので」
「不安やったんですね」
「そうでしたが」
それがとだ、令嬢は陳達にまさかという顔で答えた。
「そこまで強いとは」
「ほんまに強かったです」
「では、ですね」
「はい、この通り無傷です」
見れば犬は飼い主である令嬢に顔を向けて尻尾をぱたぱたとさせてへっ、へっ、と上機嫌そうに彼女の顔を見ていた。それはごく普通の犬の愛嬌のある仕草だった。
その犬を見つつだ、陳は言った。
「何はともあれ」
「それは何よりですね」
「はい、犬は戻ってきましたし」
犬の強さに恐ろしいものを感じつつもだった、陳は依頼が無事に終わって誰もが笑顔になったのでよしとした。そうしてだった。
金と共に斉斉哈爾を去ろうとしたがこの時にだった。
陳の手に何かが宿った、それはというと。
「斬妖剣か」
「今度は剣か」
「新しい神具はな、普通に武器としても優れもんやが」
それだけでなくとだ、陳は自分の隣にいる金に話した。今は二人で共に斉斉哈爾の駅に向かっている。そこから別の場所に行く為だ。
「特に妖魔系とか悪魔系とか天使系とかな」
「そうしたやな」
「神魔系のモンスターに強い」
「悪魔殺しみたいなもんやな」
「そうした剣や、これは強いで」
「そやな、そうした系統のモンスターは力強いしな」
「その連中に強い神具やからな」
それ故にというのだ。
「この神具はな」
「相当に有り難いな」
「ああ、しかも僕自身も」
陳は金に共に駅に進みつつさらに話した。
「神託を乗り越えてな」
「そしてやな」
「ああ、全体的にな」
自分自身もというのだ。
「力が強くなったわ」
「そうなったか」
「一回りな、ほなこの力でな」
神具と自分自身のというのだ。
「これからもな」
「世界を救う為にやな」
「戦ってくわ、前を見てな」
オーガの一見すると怖い顔を綻ばさせてだった、陳は金に言った。そうしてその為の一歩を強い足取りで踏み出した。前を見たまま。
子犬を探して 完
2019・5・19
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