第一章 ハジマリ
第31話 再戦VSザ・デッド――不穏な空気
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と走り込む速水をチェーニは一瞥すると、突如、ボールを踵側に回しバックパスを放った。
そのボールの先には同じくMFのシャッテンがまるで待ち構えていたかの様に、走り込んで来ていた。
「行くわよ、チェーニ」
「えぇ、シャッテン」
互いにそう言葉を交わすと、シャッテンは持っていたボールを両足で踏み付け、三つの分身を生み出した。
「ジャッジスルー3!!」
息を合わせ互いに声を上げた瞬間、チェーニは自身の元へと旋回してきた三つのボールを、速水目掛け力の限りシュートした!
強烈なキックにより飛ばされたボールは速水のその細い体に激突し、無情にもその体を吹き飛ばしてしまった。
『あぁと!! 速水選手! 息の合った合体技に吹き飛ばされたぁーッ!』
「速水!」
「ッ……テメェ……!」
地面に叩きつけられ、動けなくなった速水の元へ神童が慌てて駆け寄る。同じ様に声を上げた倉間は速水の様子を遠目から確認すると、怒りのこもった目でチェーニとシャッテンを睨み付けた。
「あら嫌だ、怖い顔しちゃって……」
「シュートもまともに決められないクセに……」
「ッんだと……!!」
クスクスと顔に出さずとも分かる二人の嘲笑に、倉間はついに我慢出来なくなったのか声を荒げ、憤慨した様子でチェーニとシャッテンに向かい駆け出して行った。
「止めろ! 倉間!!」
「倉間先輩!」
天馬や、速水の傍から倉間の言動を見ていた神童が叫ぶ。
だが、頭に血が上ってしまった彼には何を言っても無駄であり、倉間は二人の言葉等聞かず、目の前の二人の異形に向け突き進む。
「……あーあ。カッカッしちゃって……」
ボールを持ったシャッテンに向かい、チャージをかけようとした刹那、顔に風圧を感じ倉間は目を瞬かせた。
視界に映る白と黒の球体の意味を理解する前に、ドシュッと言う何かが潰れる様な聞き苦しい音が響き、倉間の顔面に激痛が走った。
あまりの痛みに倒れこむ倉間の視界に映ったのは、血のついたサッカーボール……。
『な……なんと言う事でしょう!! シャッテン選手、ボールを奪わんと攻めてきた倉間選手の顔面に向かい、強烈なシュートを放ったぁーッ!! 速水選手に続き倉間選手までもがその場に蹲り動けない状況ですが、大丈夫でしょうか!?』
倒れた速水、そして倉間の元へ向かう雷門イレブンの様子を見ながら、アルは叫んだ。
雷門ベンチからは浜野や信助、一乃や青山といった控えの選手がその光景を愕然と見詰めては、ザ・デッドの選手達に対しての強い憤りを覚えた。
クスクスと異形の笑い声が響く中、ホイッスルが鳴り、前半戦が終了した。
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