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生きている洞窟
第五章

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 紅美の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「私の心の中で語ってくれてるわ」
「それが何かやな」
「霧露乾坤網や」
 その水色の透き通ったマント、中国風のそれを手にしての言葉だ。
「水の力があってな」
「それで身を護ってくれるか」
「しかも水中での動きを自由自在にしてくれる」
「そうしたもんか」
「相当強い防具でもあってな」
「そんな力もある」
「凄い神具や」
 それが自分の神具になったというのだ。
「これは有り難いわ」
「ほんまにそやな」
「そしてな」
 紅美は緑麗にさらに話した。
「私自身神託を乗り越えてな」
「そしてやな」
「心の中で言われてる」
 神具の時と同じ様にというのだ。
「全体的に一回り強なった」
「それはええことやな」
「神具だけやなくてな」
 彼女にとって二つ目のそれを手に入れられただけでなくというのだ。
「そやからな」
「新しい神具と強くなった自分自身で」
「この世界を救っていくか」
「あらためて思ったんやな」
「そや、やったるで」
 紅美は白酒を飲みつつ緑麗に話した。
「絶対にな」
「そうしよな」
「それで次の場所に行くけど」
「その前にやな」
「こうしてや」
 紅美は今度はスープ、湯の中の亀の肉を食べて言った。鶏肉に似た味で美味い。
「美味しいもん食べてな」
「そして飲んでやな」
「そうしてな」
「英気を養うんやな」
「そうしよな、しかしどの料理もな」 
 湖北省の料理を味わってだ、紅美は言うのだった。
「めっちゃ美味いわ、そやからな」
「今はやな」
「心ゆくまで楽しもうな」
 次の場所に行く前にとだ、紅美は笑顔で言って今は飲んで食べた。そうして得るべきものを得たことを祝い次の一歩への英気を養うのだった。


生きている洞窟   完


                   2019・5・17
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