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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 20
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vol.28 【祭日の、次の日】

 朝。
 眩しい陽光が滑り込む食堂の一歩外側で、口を半開きにした子供達が立ち尽くしていた。
 その後ろには、いつも通りに目を覚ましてプリシラへの挨拶と謝罪を済ませた神父達。彼らもまた、子供達と同様にポカーンとした顔で扉の内側を見つめている。
 「ふわわわわあ〜……」
 「こ……これは、いったい……」
 「ああ。おはようございます、皆さん」
 そんな彼らに気付いたベルヘンス卿が、両手に空の皿を持って歩み寄って来た。
 「あと少しで終わりますから。もうちょっとだけお待ちくださいね」
 にっこりと笑う彼の頭上には、髪を覆い隠す白い布。聖職者の衣の上には、お腹の辺りにポケットが二つ備わっている白無地のエプロン。腰上のリボン結びが可愛らしい。
 完全に調理係の装いだ。騎士としての面影は何処にも見当たらない。
 「これ、おにいさんたちがしたの? すっごいきれい!」
 「はい。昨晩の夕飯のお礼です。気に入っていただけましたか?」
 「うん! きれい!」
 「良かったです」
 ほのぼのした遣り取りの後ろ……新築と見紛う程徹底的に磨き上げられた食堂の中で、ベルヘンス卿と同じ装いの騎士達が声を掛け合いながら忙しなく動き回る。
 彼らが持っているのは、彩り美しい花々を挿した花瓶だったり、焼き立てのパンが詰まった籠だったり、ナイフやフォーク等の食器類だったりと、様々だ。
 それらをテーブルの上に次々と手際良く配置していき、最後に出来立てほやほやの料理を載せた数台のワゴンを運び入れて、漸く準備が整った。
 仲間の合図を受け取ったベルヘンス卿が横目で頷き返し、「さあ、どうぞ」と、住民達の入室を促す。
 子供達は、わぁっ! と歓声を上げながら、我先にと着席した。
 「これ、はたけのちかくで生えてる花だよな」
 「ぜんぜんちがうのにみえるね」
 「パン、ほっかほか〜! おいしそ〜!」
 「あ! さわっちゃダメだよ! まだアイサツしてないんだから!」
 「この布、なんだろ? なんでテーブルの上にあるの?」
 「テーブルクロス? じゃないの? 本で見たことあるよ」
 鏡のようにピカピカの床。ツルツルで艶々な質感の白い壁。染み一つ残っていない天井。
 見慣れていた筈の見慣れない食堂内を落ち着き無くキョロキョロと観察しつつも、子供達の興味はやっぱり手元に集中する。
 何は無くとも、とにかくご飯。子供は欲に対して従順である。
 しかし、神父達は境を越えられないまま、戸惑う顔を見合わせた。
 「いかがなさいましたか?」
 「い、いえ……その……。護衛の方々にこのような事をさせてしまって、申し訳ないと言いますか、自責の念に駆られていると言いますか……」
 「皆さんは体調不良で倒れてしまったのですから、手
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