星々は御旗の下に
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李書文の猛々しい面構えに、シロウは心得たもので余分な装飾を剥いだ物言いで彼を歓迎した。さらりと厄介な修行の鬼を押し付ける算段を立てる男である。
拱手して颯爽と踵を返し、滾る血潮の欲するままに東部へ向かった。その指揮系統も糞もない、乱雑な命令だけでいい。どうせ一匹狼、雨風を凌ぐ宿と敵さえいれば、相応に働いてくれる手合いだ。変に縛ろうとするより勝手に動いてもらった方がいい。
圧倒的な武練を持つ無双の拳法家は、本営に背を向けて歩む中で含み笑う。握手一つで相手の力量を図れるのが達人の洞察力。手の厚さ、形、体幹、力の根、情報となるものは幾らであった。
――随分と鍛え込まれたマスターよ。才に乏しくとも、無繆の鍛練を積み一廉の戦士となっておるな。聳え立つ城の基礎が如き骨子がある……。ふむ、存外儂に相応しいマスターなのかもしれぬな。
次にシロウが握手を求めたのは静謐な面持ちをした理知の人。インディアンの賢人である。
「エミヤシロウだ。宜しく頼む」
「サーヴァント、キャスターだ。……ジェロニモといった方が分かりやすいかね?」
「ほう、あのインディアンの指導者か。いいな、実にいい。キャスターという事はシャーマンだな。伝説から勝手な偏見で言わせてもらうが、格闘戦もこなせると見ていいか?」
握手と自己紹介を交わし、双方ともに躊躇う素振りもなくパスを繋ぐや、早速戦力として組み込もうとするシロウにジェロニモは苦笑した。
ほう、などと。さも知っていますよといった態度だが、実を言うと全く知らない。が、彼の持つナイフを解析して粗方の性格、能力、戦法、経歴を読み取っている。
出来なくはないとジェロニモが答えると、それを謙遜と受け取ったシロウは告げる。
「素晴らしい。ではジェロニモ、お前を東部戦線を支える要としよう。ジョナサン、東部基地の戦況推移の一覧を」
「――ああ、マスター。それはいいが、頼みがある」
ジョナサンが目を血走らせながら手早く書類の束を掻き集めてシロウに投げ渡し、それがそのままジェロニモにも渡される。ジェロニモはそれに目を落として読み込みながら告げた。
「私はレジスタンスを率いていた。彼らをこの組織に合流させたい。構わないだろうか?」
「いいだろう。歓迎する。しかし今は大人数を受け入れられない。この戦役に近い内、一段落を必ずつかせる、その時にレジスタンスや他の難民も受け入れる手筈を整えよう。ここが万が一陥ちた時、巻き添えにする訳にはいかないからな」
「絶対に陥とさせはしないと覚悟しておいてそう言うのか。万全を期すその姿勢、よしとしよう。ではマスター、これより君の指揮下に加わろう。全霊を賭して働く事を約束する」
「ああ。身を粉にして働いてくれ。使い潰さずに使い回し、そして来るんじゃなかったと
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