死力を尽くし、犬死せず
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が声を張り上げる。バディは慌てて止めようとするのに、構わず問いかけた。
「彼らをどうするつもりだ!?」
答えてくれるとは思わない。案の定、戦士はマクドネルを一瞥するだけで何も言わなかった。
しかし、サーヴァント・タイプが近づいてきて、無関心に。けれど何処か、苦しむように呟いた。
「――活きのいいのがいる。母上の供物に相応しい」
それは。
白髪の騎士だった。
片目を隠す程度に伸ばされた、癖のある白髪の、漆黒の鎧の騎士。
ゾッとするほど圧倒的な、存在の次元の違いを感じて震え上がりそうになる。睨み付けるマクドネルに、騎士は淡々と告げる。体が震えているのを、兵士達は見た。
「だ……が、供物の順番、は……守る。なるべく最後になるように……取り図る。見ものだ、いつまでその活きの良さが保つか。母上……の、もとに運ぶ供物は……母上が、サーヴァントを喚び、再構成する為……の、大切な養分だから……」
「……!」
「お前は、誰だ……?」
マクドネルが問う、騎士は唇を噛んだ。
「《ギャラハッド》」
白亜の城の騎士。
その真名を持つ彼は、絞り出すように告げた。しかし体が震え、よろめいている。
「いいかい……? 逃げる……なら、夜は、ダメ……だ。夕方に、僕の父が……帰って、来る。朝に、しろ。便宜は、図、る……」
「――《抗っている》のか」
「《抗えない》。僕の、霊基も……限界だ……。君達に、賭ける……希望を……《次に会えば》、その時は《本気で殺す》、事になる……」
「……」
「気を付けて。父は……ランスロット卿は、つ、つつ、強……く、用心深い……っ、母上――メイヴ、は……軍権を、彼に、預けた……。――王への忠誠を尽くして、召喚されたのに、抗った父は……念入りに、《いじられた》。容赦は、されない……でも……僕がいじられるのは、阻んでくれ、て……こうして、希望を残せ……る……。父さん、やっぱり……騎士の中の騎士は……僕なんかじゃ、なく……あなた、だっ……た……」
くるりと。ギャラハッドは踵を返して去っていく。おい! 呼び掛けるマクドネルを一瞥したのは、完全に虫を見る目だったが。
その瞳の中に、苦痛があるのを見て取ったマクドネルは生唾を飲み込む。
そして、バディと目を合わせ、頷き合った。
有益なものになるかは分からない。それはBOSSが判断する。だからこの情報をなんとしても持ち帰る。絶対に。
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