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人理を守れ、エミヤさん!
死力を尽くし、犬死せず
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を運んでいたケルト軍は、それはもう酷い臭いだ。捕虜達の糞尿をその背中に浴び続けていたのだ。臭わない訳がない。

 マクドネル達や、四十二名の人間が運び込まれたのは――

「……マザーベースから北西に、」
「おおよそ1,200マイル(1931.213q)ほどだな」

 檻に入れられたマクドネルとバディは、運ばれながらも距離と方角を常に図り続けていた。
 互いの認識に齟齬がない事を確かめ合う。二人の兵士は頷き合った。敵拠点は掴めた。後は他に収集出来る情報を集めればいい。

「……どうする? マクドネル」
「主に探るべきなのは、捕虜にした人間をどうするつもりなのかだな。他の目的は達している。一番はやはり敵拠点の所在地の把握だ。敵首魁はメイヴとやらで例の化け物がクー・フーリンだというのは判明しているからな。出来ればあれ以来襲ってきていないクー・フーリンとかいう化け物がどうなっているかも探りたいが……」

 無数の粗雑な木製の檻に入れられているのは、多くの人間である。
 老若男女を問わず、疲労困憊の――それこそ放っておけばすぐに死んでしまいそうなほど弱っている人々が、ざっと見ただけで数百といる。
 広く、大きな城の一角だ。ここだけでこれほどいるという事は、総数はこの十倍から百倍いてもおかしくはない。誰もが不安げにしている。幼い子供が、青い顔で寝ている母や父に縋りつき。その逆に鼓動を止めた幼子を抱いて泣く親の姿もあった。
 先住民の姿も多数見受けられる。マクドネル達は顔を険しくさせるが、彼らに出来る事はない。

 四方を囲む大きく高い壁。辺りを巡回する戦士。

「……見張りは雑だな」
「逃げられる訳がない、と見切ってるんだろう」
「それより気づいたか、マクドネル」
「ああ……」

 散見されるのは、幾人かの男性型のサーヴァント・タイプ。三名ほどが雑談しながら歩いている。
 欠片も捕虜の人間を気にかけていない。啜り泣く捕虜の声を、虫の鳴き声としか感じていない証だ。

「……この檻はどうする?」

 バディの問いに、マクドネルは無言で右腕の裾を捲り、上着の裏地に仕込んでいた細い鋸を取り出した。

「お前も持っているだろう。これで削る」
「……そういう事じゃなくてだな。骨が折れるだろ。今はある程度休むべきだと思うぜ」
「……まあ、そうだな」

 流石に精兵といえど、体力の消耗は如何ともし難いものがある。夜になるまで休む事にした。
 その時だ。不意に檻に戦士が数名近づいてくる。緊張する人々を無視し、戦士は檻を開くと中を見渡して死体を引きずり出した。やめて! お父さんを離してよ! 泣き叫ぶ娘ごと、連れ出される。その他にも幾人かを適当に選出して、十人の人間が連れ出された。

「待て!」

 マクドネル
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