アウトロー・オブ・アウトロー
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蓄積してある。ロビンの宝具が効果的だ。
ビリーは今それに思い至ったが、ロビンは一目でこれがベストだと判断できたのだろう。流石に古い時代のゲリラは考える事がえげつないなとビリーは苦笑いする。
――尤も?
だからって、こっちが撃ち殺したらいけないなんて決まりはないよね。そう嘯くアウトロー。手筈通りスマートにやるのもいいが、一発で殺せたらそれが一番スマートだ。
後一歩。踏み込んできたらさよならだ。おいで、相手になってあげると余裕綽々。剣とか槍とか、前時代的なのもいいけどね、火薬の味を覚えて帰ったら少しは文明人に近づけるんじゃない? ビリーは笑いながら神経を研ぎ澄ます。そして今、剣闘士がビリーの射程圏に侵入した――
「ファイヤ」
抜き手も見せぬ神速のクイックドロウ。発砲音はただ一つ、マズルフラッシュが鮮烈に、心地よい反動が手に返る。
果たして剣闘士は無防備に銃弾を受け――ない。銃撃手が仕掛けてくるのを肌で感じていたのだろう。正面切っての戦いで、剣闘士を出し抜くのは困難だ。彼は両腕を組み合わせ、小剣で頭部を守っている。丸太のような腕が胴を固める鎧となっていた。
……剣闘士を出し抜くのは困難? そんな困難、簡単に乗り越えてしまうのがアウトローってもんさ。
放たれた銃弾は三発。一つの発砲音が鳴り響く間に三連射の早撃ちをしたのだ。一発は眉間に、これは小剣に阻まれた。だが二発目は腕と腕の隙間、ほんの僅かな空洞をすり抜け分厚い胸板に直撃した。三発目は右膝である。
膝と胸を撃ち抜かれて剣闘士は転倒した。心臓を確実に捉えた確信がある。これでおしまい、ロビンに出番はないよとビリーは笑う。しかし――剣闘士は立ち上がった。
「――」
目を見開く。心臓を貫かれてなんで? そのビリーの驚愕など剣闘士スパルタクスには関係がない。
鉛玉はスパルタクスの筋肉の鎧に阻まれ威力を落としたのだ。心臓に当たりこそすれど即死させる事は出来なかった。剣闘士スパルタクスの頑強さは規格外のそれである。それでもどのみち死ぬのに変わりはないはずであったが――《即死しなかったのなら何度でも立ち上がる》。《傷は癒えている》。
「チィッ……! 大人しく死んでなよ、食らったんならさぁ!」
ビリーは舌打ちして悪態を吐きつつ、飛び退いて後退した。剣闘士は哄笑する。
「ははははは! おお叛逆者よ! 我が恋人に歯向かう傲慢なる者らよ! 汝らを抱擁せん!」
「冗談……!」
猪突猛進に突撃してくる剣闘士。更に銃弾を浴びせるも、今度は防御すらしなかった。悉くが反射されてしまう。ジグザグに後退するビリーが直前までいた場所を、ビリーの弾丸が貫いていた。
反射されている。
ビリーの弾はもう効かない。そう思うのが普通で、しかし彼
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