第27話『非情なる刺客!ヴォジャノーイ再戦!』
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【独立交易自由都市・中央市役所・2階調査騎士団事務室】
「あだだだだ!!どうして『虚空回廊』の出口がこんなさびれた机に繋がるんだ!?」
黒髪の美女は、肩まで伸びた髪を乱暴にかき乱して声を絞り――
「フィグネリアさん!ちょ、ちょっとあたしも苦しいです〜〜〜ふきゅう」
栗髪の少女は、肩まで揃えたツインテールをふるふる震えさせ――
「贅沢言わないでください、狭いのは私も同じですから――――うぷ」
紫髪の淑女は、腰まで下ろしたストレートを激しく見出し、内臓器官をシェイクしている。
三者三様はそれぞれ異なる喘ぎを漏らして、異郷の地から彼の机を介してやってきた。
異郷の地の名は、独立交易自由都市。
誰も触れていないはずの、机の引き出し部がゴトリと動く。
本来ならば、そこからは筆記用具なり書類なり何かしらの執筆道具が出てくるはずだ。
しかし、出てきたのは執筆道具ではない。むしろ、まだ見ぬ物語を彩る登場人物たち――その最も輝く星々であろう主人公たちだった。
彼女たちの名はティッタ。フィグネリア。ヴァレンティナ=グリンカ=エステス。
侍女、傭兵、戦姫という、出自の方向性を全く違える彼女たちは、一人の勇者の姿を見届けるために、数万ベルスタ(キロメートル)の距離を空間跳躍してここ、独立交易自由都市へとやってきた。
元々は独立交易都市と呼ばれていたこの地はかつて、周辺諸国と交易を結ぶ重要な玄関口として機能していた。
代理契約戦争より44年。
そして第二次代理契約戦争より1年。
初代市長たるハウスマンが掲げる、四民平等の理念をうたう独立交易都市は、現市長のヒューゴーによって多数の国交化を得て独立交易自由都市と名を改めた。
当時、『大陸法委員会』の呼びかけによって、大陸の主だった3国1都市が停戦条約と平和同盟を結び――そして悪魔契約という抑止力を得た。以来、『帝国』『軍国』『群衆列国』の3国と『独立交易都市』の1都市は互いに協力し合い、共に発展してきた。そして、独立交易都市も隣国同士を結び付ける国際貿易都市として、近時代の政治、経済、文化の中心として、かつてない繁栄を見た。
だが、諸外国の脅威が鮮明化してから、状況が急変した。
機械文明の猛威を告げる鉄血の使者――『黒船来航』
『闇』を散らす蒸気船――高鳴る『死』の調べに『夜』もねむれず。
夜と闇と死を司るティル=ナ=ファに嫌味を込めたかのような狂歌。
そしてヴィッサリオンの巣立ち故郷がここならば――
何よりガイの想い出の地がここならば――
機械文明の使者
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