女難転じて福と成すのが士郎くん!
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俺がそう訴えると、スカサハは苦笑したまま「それはまた今度、お主の城でやろう」と告げる。お預けらしい。
「それよりもお主にとって深刻なのは霊基であろう? そちらを優先しようではないか」
「む。……それもそうか。だがどうするんだ? さっきも言ったが、俺の奥の手は固有結界を弾丸に込めて撃つ銃撃だ。中ればアンタであっても殺せるだろう。これ以上の切り札はないぞ」
「使わないでくださいよそれ……」
「無論使わぬのが一番だが、使わねば切り抜けられぬ場面もあるかもしれん。しかしだ、ならばそれ以上の切り札を作ればいいのではないか?」
沖田の苦言にスカサハが乗じて言う。
簡単に言ってくれるが、俺の魔術特性などを鑑みれば、これより上の破壊力はない。俺の固有結界は対応力はあっても決定打に欠けている。使わねばならない局面は今後、必ず出てくるだろう。
これを上回る切り札を俺がどうやって持つ? そんなものが簡単に出来るなら、赤い弓兵の方がとっくの昔にやっていたはずだ。戦闘センスではあちらのエミヤシロウの方が数段上なのだから。
スカサハがにやりと笑う。
「先程儂が言ったではないか。捨ててしまうのか、勿体ないと」
「――まさか」
「そのまさかよ。一目見ただけで解る。お主が旗を使う女――恐らくジャンヌ・ダルクであろう者から勝ち取った剣は、固有結界の亜種だ。それを毀れてあるお主の固有結界の補填に当てる」
通常は不可能な芸当だが、今の心象風景を欠損しているお主になら出来なくはない、私がいればな、と。スカサハは嘯く。
「待て、それは……」
「? 心配するな、これは逸話や魂の在り方が具現化した類いの宝具。誂え向きにも『剣』の形をしておるのだから、『剣』の起源を持つお主には相性が良かろう。それに人格の侵食もまず無い。そちらはお主の中にある霊基が影響を受けるのみだ。何せそちらの方が霊格が高いのだからな。固有結界の欠損を補填でき、その強度も補強され、鍛練は必要であろうが固有結界の概念結晶化も会得できるかもしれぬ。お主だけが持つ究極の一を生み出せるかもしれんのだ、メリットしかないと思うが?」
「そういう問題じゃない。ただの剣ならそこまで躊躇わないだろうが、これは……これは、英霊ジャンヌ・ダルクの魂そのものなんだぞ。俺如きに取り込むなんて分不相応というものだ」
堪らず反論すると、スカサハは一瞬きょとんとした表情を見せる。そして可笑しそうに笑った。
「何を言うかと思えば……よいか? お主は如何に見る影もないほど劣化し、本来の十分の一以下の力しかない聖女であっても、それを打ち倒して武器を奪ったのだ。それは戦果として誇ってもよい。それにだ、彼の聖女であれば、人理修復の為に使われるなら喜んでお主に協力するとは思わんか?」
「それは――そう
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