女難転じて福と成すのが士郎くん!
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。でなければどの面下げてセタンタに会えようか……頼む。私がお主の……カルデアの戦列に加わる事を許してほしい」
脚を止めて頭を下げたスカサハに瞠目する。隻眼を見開き、信じられないものを見た心地となった。あのスカサハが、頭を下げて頼むだと? 逆にこちらから頼みたいというのに。
このまま馬上から応じるのでは礼を逸している。アンドロマケから降り頭を上げてくれと告げるも、スカサハは構わず続けた。
「私は魔道を窮めた。出来ぬものはそうはない。望むならお主の左目も治そう。そして――その身に宿している霊基の補強をしてもいい」
「――何?」
スカサハの言に俺は驚愕する。魔道を窮めた者からすれば、そんなにも今の俺は……視ただけで解るほどに歪んでいるのか。
考えるまでもなかった。首肯する。是非頼むと。するとスカサハは頭を上げて頷きを返すと、虚空に無数のルーン文字を刻む。ルーンについては知識も浅い俺には、それがどのようなものなのか読み取る事も出来なかったが、込められた魔力の質と、内包する概念の多様さは漠然と伝わった。
それが俺の左目に吸い込まれる。瞬間、熱を帯びたような感覚がした。スカサハはやや意外そうにひとりごちる。
「――傷の治りが早い……お主、もしや《眼を抉り続けておったな》?」
指摘され、眼帯で隠してあるのによくも分かるものだと呆れてしまう。よくよく大魔術師というのはこちらの理解を越えてくるものだ。
「治癒の目処はあった、しかし完全に傷が塞がっていれば治すのに難儀する可能性を考え、常に傷を刻み続けて塞がるのを抑えていたのか……無茶をする。相当な激痛があったろうに……それに、気づいておらんかったようだが、その傷口から結構な病に感染しておるぞ」
「ん? そうか……」
「そうかとはなんだ。儂が治せてやれるから良かったものを、そうでなければ命に関わっておったぞ。保って十年といったところじゃ」
「十年保っていたなら上等だ。その頃にはカルデアも来ているだろうからな。アイリさん……カルデアの治癒役の人が治してくれたはずだ。それに十年経ってもカルデアが来なかったら……どのみち俺は負けているだろう」
沖田が凄まじい剣幕で睨み付けてくるのから目を逸らしつつ、治癒が終わったらしいルーンが光を消すのを見届ける。
探知のルーンが俺の全身を検知して、病魔を殺してくれたのだろう。『私に殺せぬものなどない』とは生前のスカサハが、クー・フーリンの前でよく嘯いていた台詞だったが、どうやら病魔すら例外ではないらしかった。凄まじい万能性である。
眼帯を外す。左目は塞がり、光を取り戻し、嘗てのような視界を取り戻した。しかし――今の俺にはこの視界は広すぎる。慣れるのに時間は掛からないだろうが眼帯を付け直した。
「何故眼帯を外さ
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