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人理を守れ、エミヤさん!
女難転じて福と成すのが士郎くん!
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し過ぎた故に、魂魄にまで染み込んでしまった魔力の類いである。スカサハはアンドロマケの行為が、自分や主に害がないか確かめているだけだと察しているから好きにさせているのである。

「――私は醜い魔女だ」

 彼女は夢見るように語る。

「人理焼却の折、私のいた影の国もまた燃やし尽くされ、私自身も人理を修復するまでは仮初めの死を得るはずだった。しかし魔神柱の思惑か――私の許に聖杯が現れた。その時に未来を視てしまったのさ、お主に召喚された、私の槍を持った弟子が乗り込んで来る未来をな」
「未来視の千里眼か」
「うむ。余り多用するものでもないが……視てしまったばっかりに自らの欲望を抑えきれなんだ。……私は魔神柱の思惑に乗り、影の国を特異点とした。それがどれほどカルデアにとって迷惑なものか承知していて尚、私欲を優先したのよ」
「……」
「果たしてセタンタめは影の国に舞い戻ってきた。はじめて私の許に修行に来た時とは比べ物にもならぬ力を携えて、な。嬉しかったよ、同時に楽しかった。私が聖杯を用いて復活させた海獣クリード、七騎のサーヴァント……カルデアにマスターとして加わった皇帝ネロ、お主の有り得たかもしれぬ未来の者、彼の騎士王にアルカディアの狩人……ああ、お主の養父もおった。死闘を繰り広げ、最後には私の視た通りセタンタも戦線に加わり、奴は私の許に突っ込んできおった。ふふふ……その時、私はなんと言われたと思う?」
「さあな。大方『この死に損ないのイカレ婆、いつかの約束通り、殺しに来てやったぜ』とでも言われたか?」
「はっ!」

 愉快そうに、痛快そうにスカサハは笑った。心底可笑しな事を聞いたとでも言うように。

「一言一句違わずその通りの事を言われたわ! なるほど、お主の気質はあの弓兵よりもセタンタ寄りなのだな? 道理で不愉快ではない。奴が気に入るのも頷けるというもの」
「ランサーを通じて俺が知ってるアンタと、今のアンタを一緒にするべきじゃないのかもしれないが……俺の知ってる限りだと怒り狂いそうな物言いだったろう」
「全く以てその通り、儂はあの時はつい、手元が狂ってしまいそうだった。所詮はサーヴァント、生きておる儂、いやさ私にとってそのクー・フーリンは余りに弱かった。当然だ、サーヴァントとは神代の者にとって劣化させられた枠組みに納められたモノ、生きておる私とは比べるべくもない弱さだったとも。簡単に殺せてしまうと思っておった」
「……」
「しかしな……いざ槍を交わしてみれば、どうだ。私は奴を殺せなかった。はじめは遊び半分、次第に本気になっていったが――どうした事だ? 技、力、巧さ、あらゆる点で凌駕していたにも関わらず、奴は一向に斃れぬ。気づけば全身全霊を賭して槍を振るっておったよ。ルーンも全開にし、魔境の叡知も惜しみ無く注ぎ込んでおった。だが
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