第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十一 〜英傑、逝く〜
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、とはあるが。それとて、徹底しているとは言い難い有様じゃな」
「では、この者の処分については、如何なさる?」
董卓と丁原は、顔を見合わせた。
「……厳密に言えば、都への護送が妥当でしょう」
「じゃが、今の腐敗した高官共が、適切な裁きを下せるかどうか。それに、都までの道中、安全とは言い難いの」
「……では、解き放つ、というのは如何でござる?」
「歳三様! な、何という事を!」
「お兄さん、それはちょっと大胆過ぎませんかー?」
すかさず、稟と風が反応を返す。
「ならば、この場にて処刑しろ、というのか?」
「……動機はどうあれ、賊の一味である事は確か。主、それも一案ではござるぞ」
「でもこの子、別に悪い奴には見えないのだ」
「鈴々。善悪ではないのだ、黄巾党に賊し、民を苦しめた事は事実なのだぞ?」
「ふむ……」
この娘が、あの陳宮であるならば。
曲がった事を好まず、己の義を貫いた智謀の士。
……何とか、助けてやりたいところだな。
と、呂布が前に出てきた。
そして、陳宮を抱き締めた。
「な、何をするのです!」
「……ダメ」
「呂布。何が駄目というのじゃ?」
「……この子、殺す。それ、ダメ」
暴れていた陳宮が、驚いて呂布を見上げた。
「な、何故ねねを庇うのですか?」
「……お前、悪くない。恋には、わかる」
これでは、とても斬る事などかなわぬな。
……万が一、無理にでも斬ろうとすれば、こちらも無事では済むまい。
「丁原殿。呂布殿がこれでは」
「……うむ。恋は、相手の本質を見抜くからの」
「あの……。土方さん、丁原おじ様」
董卓が、呂布のところへ歩み寄った。
「この子が、黄巾党である証拠は、何処にもありませんよね?」
「確かに、黄巾党の証である黄色い布は……つけておりませぬな」
「そのようじゃな。だが月、何が言いたい?」
「はい。ですから、この子を処刑する必要も、都へ送る必要もないと思います」
そう言って、董卓は微笑んだ。
「ちょっと月! 本気で言ってるの?」
「本気だよ、詠ちゃん」
「経緯はともかく、コイツは賊の一味なの! それを無罪放免だなんて」
「……無罪放免、なんて、私は一言も言ってないわよ?」
「え? でも処刑も護送もしないって」
董卓は、屈み込んで陳宮を見た。
「陳宮さん。さっき、言いましたよね? 民を苦しめる者が悪い、と」
「確かに、言いましたぞ。それが、ねねの本心なのです」
「では、賊として民を苦しめるのも、いけない事だとは思いませんか?」
「そ、それは……そうかも知れないのです」
「それでしたら、その知恵を使って、民を救いませんか。私達と」
「黄巾党を討伐する為に、ねねも協
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