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人理を守れ、エミヤさん!
ケルト的運命の出会いだね士郎くん!
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女性である。落ち着いてこちらを観察しているが、放つ魔術は悉くが情けないものに型落ちしている。剣弾であっさり相殺してやると、やるだけ無駄と諦めたように魔力弾を飛ばして来るだけになった。

「……醜態だぞ、メドゥーサ。コルキスの王女」

 ――母上……

 メディアは俺の中の霊基が知っているだけで、俺と直接面識がある訳ではない。しかしメドゥーサは共に戦った事のある仲間だった。些かの憐憫を覚えてしまうほどに、弱かった。嘗て慎二をマスターとしていた頃よりも遥かに。
 見ていられない。出来ればこんな二人は見たくはなかった。奇襲を仕掛けてきたのだから、なんらかの勝算はあるはずだと思っていたが。肝心の指揮官がいる様子もない。まさに烏合の衆である。

 ――……お母様

 コイツらは何しに来たんだと疑問を抱くほど脆かった。断末魔が揃って母への無念である事だけが、疑問と言えば疑問だが。それとておおよその予想は立てられる。
 多数のケルト戦士を生み出す能力の持ち主、ケルト側の黒幕が、聖杯でなんらかのインチキでもしたのだろう。霊基は脆く、自我は薄く、知性は足らず、魔力も薄い。しかしながら宝具だけは確りと持っているらしい。残留霊基(シャドウ・サーヴァント)ではなくサーヴァントの成り損ない、未熟児のようである。
 報われない。こんな真似をやらかした外道には、相応の報復を本来の彼女達に代わって行わねばならないだろう。――だが俺は悪魔的な閃きを得ていた。
 サーヴァントとしては見る影もない彼女達だが……。宝具だけは本物である。で、あるならば……《奪ってやればこちらの戦力向上に繋がる》。或いはいずれカルデアが来た時その宝具を触媒に本人を喚ぶ事も出来るだろう。

 ――不思議と。そんな畜生じみた発想に忌避感はなく。また実行に移すのに躊躇いもなかった。

 彼女達の代わりに報復してやろうという義憤。
 役に立つものを略奪してやろうという、非道。
 矛盾する思想がある。

「お前にしよう」

 吟味の時は短い。元より相応しい格の持ち主が少なく、俺に向いている武装を持っている女の英霊は更に少なかったからだ。
 先端に槍の穂先をつけた旗を振るう聖女に狙いをつける。貧弱な膂力より繰り出された旗を黒剣銃で難なく弾き、その背中を沖田が切り裂いた。よろめく彼女に馬上から蹴りを叩き込み、仰向けに転倒した彼女に馬上から飛び降り様に膝を叩き込む。
 呻いた聖女の眉間に銃口を突きつけ、発砲。聖女が消滅する前にその腰から剣を奪い取って、魔力殺しの聖骸布を投影して素早く包んだ。アンドロマケに飛び乗り、敵軍を見渡す。そして自身の周りに『熾天覆う七つの円環』を現して防禦を固めると、淡々と沖田に指示を飛ばした。

「春。眼帯の女を斬れ。石化の魔眼を使う気になったらしい
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