安定の女難EXだね士郎くん!
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沖田の愛刀が閃き、火花が散る。
瞬間的に俺の意識が切り替わった。魔術回路起動。双剣銃を投影する。沖田を無視して俺を狙った短刀を撃ち落とす。そして襲撃者は沖田を無視した代償をその身を以て支払った。気配遮断がほつれ、姿を現した女暗殺者を一刀の下、抵抗も許さず斬り伏せたのだ。その刃は女暗殺者の首を刎ねている。
短刀から真名を読み取れる。その独特な仮面からも察しはついていた。『静謐』のハサン……。
敵サーヴァントだ。だが奇襲は防いだ。ハサンも斃した。何も問題は……問題、は……。
愕然とする。
荒野。見晴らしのいい地形。
そこになんらかの魔術で姿を隠蔽し、身を隠していたらしいサーヴァントが姿を現したのだ。
《総勢100近いサーヴァントが》。
「――」
沖田もまた驚愕に眼を見開いている。
中には『百貌』のハサンがいた。しかしまだ分裂していない。
コルキスの魔女メディアもいる。石化の魔眼を持つ女怪物もいる。その他幼い子供や絵本を持った少女など――女のサーヴァント部隊とでも呼ぶべき軍勢が、そこにいたのだ。
一瞬、絶望が過る。
しかしはたと気づいた。気づいて、沖田に問う。
「今の暗殺者……《弱くなかったか》?」
「――はい。霊基が不完全な感じです。戦闘力は然程でもありませんでした。意思も希薄なようです。まるで……」
「不完全な召喚をされたみたい、か?」
首肯する沖田。絶望は過ぎる。活路は見えた。
同数のケルト戦士団より強いだろう、彼らより個性的だろう、彼らよりバリエーションに富んでいるだろう――しかし。それだけだ。
ならやりようはある。脳裡を席巻する敵軍勢の正体に関する考察を今は封じ、俺は沖田に指示を飛ばす。
「――俺が詰める。春は敵を適当にいなし、俺を守ればいい。往けッ!」
承知。そう応じた沖田が、馬腹を蹴って黒馬を駆けさせる俺に合わせて疾走する。
――ケルトとの戦い。それは、早すぎるほど早く、転換期を迎えた。
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