安定の女難EXだね士郎くん!
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だろう。
知ってるぞ、俺は詳しいんだ。こういう時に限って面倒な事になると。沖田の場合、想いが実らなかったら激しく気落ちし、カラ元気になる。そしてそのまま戦闘になって普段通りに戦えずに倒されるんだろう。都合よく強敵とかが出てくるに違いない。
どうしたものか。心なしかアンドロマケの機嫌が急降下してる気もする。それでも大人しいものだ。誰とは言わないが見習ってほしい。やはりアンドロマケこそ最高の相棒である可能性が浮上するな。
適当な策として、沖田にそれとなく失望される振る舞いをして、恋心を捨てさせるという考えが浮かぶも却下する。こんなギリギリな状況下では、ささやかな失態すらもが死に直結しかねない。余計な真似は厳禁だろう。
直接振るのはメンタル弱めな沖田には悪い。戦闘に支障を来しては最悪だ。それに――最も弱るのは、俺が沖田の想いに応えたとしても、困る事はなにもない事だ。精々俺が個人的に、似た顔だからと意識してしまっていたアルトリアに申し訳なくなるぐらいで……。「そんなものは無視して沖田と仲良くなれ」というのが、人理焼却された人々からの大方の意見となるだろう。合理的な部分の自分はさっきから「いいじゃないか。誰も損をしない」と囁いてくる始末。
俺はなんとなしに理解したが、この合理化の化身みたいな部分の俺は、霊基からの囁きであるような気もしてくる。夢に見たしな。黙れ、さもないとキアラに会うぞこの野郎、そう脅しつければ一瞬で沈黙する仕様だ。なおその場合、最大のダメージを受けるのは俺である。ウルトラ求道僧がなんとか漂白してくれてたらいいなぁ、と希望的観測を懐く。
……現実逃避ばかりもしてはいられない。かっぽかっぽとアンドロマケが蹄を鳴らし、荒野を行く。城から離れて二日経っていた。西に東に無作為に散策しているが、生存者の姿やサーヴァントは見掛けなかった。道中ケルト戦士団を見掛けたが――戦うか戦闘を回避するか悩んでいる間に、何故か一瞬にして蒸発してしまった。
文字通り跡形もなく消え去ってしまったのだ。もしやケルトの首魁に何かあったのか。カウンター・サーヴァントが仕事をして、斃してしまった可能性はあるが、それはないだろうと思う。この特異点の元凶らしき者が斃されたなら、人理定礎が復元されるはずだからだ。……思えばこの時点で猛烈に嫌な予感がして、胸騒ぎを覚えたものだが……それ以来、蝗のように存在していた戦士団を見なくなっていた。
「ぁ、あの、シロウさん? 私……この病弱っぷり、どうにかしたいんですけど……どうにかなりません?」
俺が壮絶に嫌な予感に襲われているのも知らず、沖田は呑気にもそんな事を照れ臭そうに訊ねてくる。
城から出て四日目の事だ。本当に何もなかったからあっという間に時間が過ぎている気がする。持ってきている食糧と水は、後
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