人類愛の黎明
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首を傾げながらも沖田は降りる。
それで、周囲に緊張が走った。ジャックが沖田を降ろす、その行為が意味するのは……戦闘の可能性があるという事だ。
しかしその緊張感もやや薄い。犠牲を払うことなく連戦して連勝を続けているのだ。多少走らされる事はあるかもしれない、そんな程度の緊迫感である。それが悪いとは言わない。並の敵が攻めてきた程度なら、幾らでも対処は出来るからだ。
「来ました、マスター」
「ああ。シータ、何かおかしくないか?」
傍に寄ってきた、ジャックに次ぐ視力を持つシータに訊ねる。前方の砦を指し示すと、彼女も目を凝らして砦を視る。
すると彼女も首を傾げた。
「……確かに、何か変です」
「だろう。だが遠すぎるな。もう少し近づいてみるしかないが……」
「不穏なものを感じたのに、大所帯で向かうのは迂闊ですね」
そうだなと肯定する。何がおかしいのか、その詳細も分からない。ジャックはシータの言に頷き、彼らに告げた。
「様子を見てくる。二個分隊、ついてこい。春もだ。シータは残り、周囲を警戒していろ。自己判断で宝具の使用も許可する」
「はい」
「了解。ではBOSS、私が二個分隊を……」
「カーターは残れ。エドワルドを補佐につける。有事の際はお前が指揮を執れ。ヘルマン、お前は来い」
小隊の半数、二十五名の兵士を連れて行く。沖田に促して戦闘態勢を取らせておく。
沖田は表情を険しくさせる。ジャックの警戒の度合いが予想していたよりも高いのだと認識したのだ。
砦に近づいていく。距離四千まで来るとジャックは目を見開いた。
砦の内部から打ち上げられた人間が虚空を舞い、そのまま地面に落ちていく様を目撃したのである。
生存者がいる、しかし戦闘に陥っている。それもあんな――人間を遥か上空に打ち上げられる膂力ともなると、それはサーヴァント級の敵に襲われている。
直後である、砦の内側から門が崩された。算を乱して、多数の兵士や一般人が飛び出してくる。ザッと見ただけで百名を超える。
「マスター!」
「――総員戦闘用意! 奴らを近づけるな、巻き添えになる!」
双剣銃を投影する。
仲間だと思ったのだろう、必死にこちらに駆け寄ってくる連中に目掛けて怒号を発して上空に銃撃する。
「こっちに来るなッ! 俺の後方にいる連中の所へ行けッ!」
アンドロマケの上から大喝する。それでも彼らは、恐怖に引き攣った顔で、縋りつくように近づいてきている。ジャックは舌打ちして下馬すると、先頭を走ってくる兵士の顔面を殴り抜いた。
悲鳴をあげる人々に向けて再度怒号を発しながら真上に銃撃する。
「迂回しろッ! あそこに行け、死にたいのか!?」
今度こそ言葉が理解できたのか、彼らは転げるようにし
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