覚悟を決める時だジャックさん!
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をしながら、地面に座り込む『フィランソロピー』の難民達を見渡す。
考えを纏めながらジャナカ王の末裔は唇を開く。
「マスターも気づいてる事でしょうが、彼らは長旅に堪えられそうにありません」
「……」
「彼らに必要なのは、まず何よりも安住の地でしょうね。敵地であるこの大地を、大人数の戦う術のない人々を連れて横断するのは不可能です」
俺もそれは分かっている。分かっているが、どうしろというのか。まさか見捨てる訳にもいかない。
「マスターは、彼らを見捨てたくない。だから本気で救おうと抗っている。それが伝わっているから兵士の皆さんもマスターを慕っているのでしょう。細々とした問題は私には分かりませんが、でも一番必要なものは分かります。今も言いましたが、安住の地です。そしてそれを築くのに必要なのは三つ。安心して暮らせる環境、生活基盤を整えられる豊かな土地、そして」
シータは、俺を見た。その緋色の瞳には、たしかな知性と確信が込められていた。
「優れた指導者です」
「……」
「私には無理です。だって私はサーヴァント……人々の上に立つ資格も、そして器もありません。生まれこそ王家でも実際に人々を導ける力がない。でも…マスターなら出来る。そんな気がします」
「気がするだけだ。俺には無理だろう。荷が勝ちすぎている」
「気がする……それはとても大切な事なんですよ、マスター」
『気がする』というだけで、人は安心の切っ掛けを自分の中に見つけられる。信じてみよう、ついて行ってみよう……そう思える。シータはそう言って微笑む。
だから彼らは貴方をBOSSと呼んでいるんです。ですよね? そう穏やかに問われ、カーターらは照れ臭そうに目を逸らした。おいおい……出会ってまだ一ヶ月も経ってないぞ。チョロい奴らしかいないのか? もう少し独立独歩の精神をだな。アメリカン・スピリッツ的な心意気はどうした。
俺は嘆息する。なんであれ、こうした視点の相談が出来るのは大きい。お陰様で無駄に足掻くのを諦められた。
無論、生き足掻くのはやめない。でも力を振り絞るポイントを誤ってはいけない。闇雲に逃げ続けるだけでは、俺や兵士達はいいにしても、体力のない面々は必ず何処かで心が折れる。それが分かっていながら逃げ続けていたのは、俺と沖田だけでは護りきれないからだ。護れないなら、無理でも断行するしかなかったのである。
しかし今は違う。シータがいるのだ。そして――今はまだ取らぬ狸の皮算用だが――ラーマもこの大地のどこかにいる。彼らを護りきれる戦力の見込みが出来た。希望の芽がある……ならそれに賭けるしかない。何も先の展望がなかったが、これならやれるという希望が見えてきていた。
それに、一度助けたからには、最後まで救い切る。その覚悟は何年も前に終えていた。何
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