第一章
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刺青将軍
狄青は宋の一介の兵士だ、この時宋は兵の脱走を防ぐ為にその額に刺青を入れていてそれは彼も同じであった。
それで顔には刺青があった、ここまでは他の兵達と同じだったが。
やがて彼はその武勇を見出された、それである日上官に言われた。
「より働いてみる気はないか」
「といいますか」
「そうだ、出世してだ」
そのうえでとだ、上官は狄青に話した。
「宋の為に働いてみないか、そなたならだ」
「兵でもですか」
「今は兵だが」
それでもというのだ。
「それがだ」
「変われますか」
「武官になれるかも知れない」
「確かあれは」
武官と聞いてだ、狄青は思わず言った。
「武挙に及第してです」
「そのうえでなるな」
「はい、士官にしましても」
上官もそうだ、それで言うのだった。
「そのうえでなりますが」
「そうだな、しかし士官は兵でもだ」
「なれますか」
「武芸に長けてだ」
そうしてというのだ。
「兵法も知ってそのうえで功を挙げるとな」
「私の様な兵でもですか」
「なれる、そなたは百姓の家の出だが」
学問が出来る士大夫の家ではないがというのだ、武挙何よりも高位の文官を選ぶ科挙は学ぶだけの余裕がある士大夫の家つまり裕福な家でないと出来なかった。
だがそれでもとだ、上官は彼に言うのだった。
「武芸が出来ている、それである程の功を挙げている」
「ならですか」
「そうだ、兵法も学んでだ」
「より功を挙げれば」
「必ずだ」
「士官にもなれますか」
「なれる、なってみるか」
こう狄青に問うた、彼の強い光を放ち勇ましさだけでなく頭の冴えもはっきりと見せている鋭い顔を見て。背も高く体格もいい、まさに武人の外見だ。
「これから」
「是非」
これが彼の返事だった。
「ならせてもらいます」
「そうか、ではな」
上官は彼の言葉を聞いてあるものを出した、それはというと。
書だった、その書はというと。
「これは左伝だ」
「左伝といいますと」
「そうだ、名は知っているな」
「春秋左子伝ですね」
狄青もその名は知っていた、だが怪訝な顔で上官に言った。
「ですがその書は」
「そうだな、四書五経の一つでな」
「学問の書ですが」
「そうだが兵法の書でもあるのだ」
「ただ学問に使うだけではないですか」
「確かに科挙にも使うが」
それでもとだ、上官はさらに話した。
「今言った通りにな」
「兵法書でもあるので」
「読むといい、そうすればだ」
「より功を挙げて」
「宋に尽くせる様になる」
「そして私自身もですね」
「身を立てられる、その為にも読むことだ」
こう言って狄青に左伝を渡してだった。
彼に読ませた、すると学問とは縁
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