第三章
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「ですから私も」
「喧嘩をですか」
「しない様にしています、スーツでお洒落をして」
「平和主義に徹しますか」
「そうしています」
こう羊三に話した、羊三は老人からその話を聞いてだった。
それでだ、家に帰ってすぐに和佳奈に言った。
「スーツあったな」
「スーツ?」
「ああ、働いていた時のな」
それをというのだ。
「着るか、靴も出してな」
「革靴を?」
「それで帽子は買ってな」
それは持っていないがというのだ。
「あと色々アクセサリーも買うか」
「また急にどうしたのよ」
「いや、実はな」
ここで和佳奈に老人のことを話した。それでまた言った。
「それでなんだよ」
「ああ、そうなの」
「ずっと忘れていたけれどな」
「必要ないと思って」
「それでお洒落はしてなかったがな」
「その人や今後の。ええと」
「サプールみたいにな」
和佳奈に彼等のことも話した。
「なるんだよ」
「これからは」
「昔はダンディだったんだ」
「そのダンディさを取り戻すの」
「そうなるな」
こう言って実際にだった、羊三はダンディさを取り戻しスーツを着てボルサリーノを粋に被り靴も磨いてだった。
アクセサリーも揃えた、するとだった。
別人の様になった、それで和佳奈も驚いて夫に言った。
「何かね」
「若い時みたいだろ」
「ええ、外見は変わったけれど」
すっかり歳を取った、しかしというのだ。
「昔に戻ったみたいよ」
「ダンディになったか」
「ええ、見違えたわ」
そこまで変わったというのだ。
「本当に」
「それは何よりだ、じゃあな」
「これからは」
「もう服に無頓着なのは終わりだ」
歳を取ってもうそうしたものはいいと思っていたがというのだ。
「これからはな」
「ダンディね」
「それでいくからな」
そちらに戻るというのだ。
「平和主義でいてな」
「それも忘れたらいけないわね」
「元々喧嘩はしないけれどな」
そうしたことを好む気質ではないのだ、だから学生時代も仕事をしている時も人とのトラブルは少なかった。
「これからはな」
「平和もなのね」
「愛するお爺ちゃんになるぞ」
「そうなるのね」
「ああ、それで孫達はどう言うだろうな」
このことも気になる羊三だった、そして実際にだった。
孫達は祖父と一緒に街を歩いている時にダンディに決めている彼に言った。
「お祖父ちゃん恰好よくなったね」
「前と別人みたいだよ」
「奇麗な服着てね」
「凄く偉い人みたいだよ」
「ははは、偉いかどうかは別にしてな」
祖父はその孫達に笑って応えた。
「こうしてな」
「お洒落をしてね」
「それで歩いてるんだね」
「ああ、そうだ」
その通りだというのだ。
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