第一章
[2]次話
幸せ家族
野田太と麻美子の夫婦そして二人の娘玲は誰が見ても幸せな円満な家族だった、だがそれはあくまで周りが見てのことだ。
最近この一家には悩みがあった、その悩みは他ならぬ一家を縁の下で支える妻であり母である麻美子のことだ。
麻美子は最近よく難しい顔をしていた、そうしていつも言うのだった。
「痛いわね」
「ママまたリウマチかい?」
「リウマチなの?」
夫の太と娘の玲がその麻美子を気遣って心配そうな顔で尋ねた。
「そうなの?」
「大丈夫?」
「大丈夫かっていうと」
それはと言うのだった。
「ちょっとね」
「ううん、難しいね」
「リウマチって難しい病気なのよね」
「そうなの。だからね」
そのリウマチだからだと言う麻美子だった、その病気に苦しんでいる顔で。
「ちょっと休ませて、悪いけれど」
「いいよ。無理しないでね」
太はリウマチで苦しんでいる妻を気遣って優しい声をかけた。
「こうした時は」
「有り難う。じゃあね」
「ママ、無理しちゃ駄目だよ」
玲も母を気遣って心配している顔で言う。
「本当にね」
「わかってるわ。全くまだ若いと思っていたら」
それがというのだ。
「急になるなんて」
「リウマチは若くてもなるみたいだよ」
太は年齢かと思った麻美子に述べた。
「だからね」
「なる時はなるのね」
「だから」
それでと言うのだった。
「今はね」
「無理しないことね」
「そうした方がいいよ」
こう言ってだった、妻の背中にカーディガンをかけた。そうしてそのうえで今は彼女を休ませるのだった。
とかく麻美子はリウマチで苦しんでいた、日々この病気を向き合いそして苦労していた。治療法も色々検索したり本を読んでだった。
調べるがそれでもだった、これといった治療方法が見付からず実際にやってみてもこれといった効果がなくだ。
彼女のそして一家の悩みの種となっていた、それで太は休日に妻に対してこんなことを言った。
「ママ、もうリウマチは治らないのかもってね」
「そう思ってなのね」
「やっていくしかないんじゃないかな」
リウマチを治そうと必死な妻に言うのだった。
「だからね」
「それでなのね」
「うん、もうね」
それこそというのだ。
「病気と付き合うっていうか」
「持病としてなの」
「考えて」
「やっていったらっていうの」
「どうかな、それで」
こう言うのだった。
「もうね」
「それは」
どうかとだ、麻美子は夫に難しい顔で答えた。
「私はあまり」
「したくないんだね」
「苦しいから」
そのリウマチがというのだ。
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