第三章
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「漢学者の岡田東洲殿のところにな」
「それでおい達は今から」
「丸亀に行ってな」
「そうしてですね」
「無事かどうか見に行くぞ」
「わかりもっそ」
斎藤はここでも薩摩の言葉で応えた、そしてだった。
二人で丸亀の岡田東洲のところに行った、するとその岡田が出てきて二人に対してこう言ってきた。
「よく来られました」
「それでだが」
梅田が岡田に応えた。
「若江殿はどちらに」
「今はここで塾を開いて」
そうしてというのだ。
「子供や女人達に学問等を教えています」
「左様であるか、しかし」
ここでだ、梅田は岡田に問うた。
「お主は何故あの女人を引き取っている」
「恩人だからです」
「お主も志士だったというが」
「はい、左様です」
その通りだとだ、岡田は梅田に答えた。
「私もまたかつては」
「その時にか」
「あの方に助けてもらったことがあり」
それでというのだ。
「今はです」
「お主がか」
「そうしています」
今度はというのだ。
「その様に」
「そうなのか」
「そうしているのか」
「はい」
その通りという返事だった。
「恩義がありまして」
「そして当人は学問を教えているのだな」
今度は斎藤が問うた。
「そうなのだな」
「はい、漢文や詩歌を」
「そうか」
「非常に学のある方ですから」
人に教えることも出来るというのだ。
「見事な教え方です」
「それは何よりだが」
「宜しければ」
岡田は斎藤だけでなく梅田にも述べた。
「会われますか」
「そうしたいが」
「そうしてくれるか」
「それでは」
岡田はそれならと答えた、そしてだった。
二人は共にだった、若江薫子と会うことになった。暫くして小柄で色黒そして藪睨みの目で引き攣った顔の質素な身なりの女が来た。
随分と年老いた感じだ、実際に聞く歳よりさらにそう見える。その女が梅田と斎藤を見て言ってきた。
「東京からの人ですか」
「そうだ、皇后様がそなたを今どうしているかを気にかけておられてな」
梅田が彼女若江薫子に答えた。
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