暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
二十三 取り違え
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
としたにしろ、そいつは殺されてるはずだろ」


『霧の忍刀七人衆』の名刀を持っていた満月からダンゾウが刀を強奪したにせよ、あるいは、刀を収集していたダンゾウから満月が盗みだそうとしたにせよ、【根】に捕らえられた時点で満月の命はない。

現在忍び込んでいる右近・左近と鬼童丸のように部下として扱うのならともかく、捕らえているだけなど想像できない。

ダンゾウの性格からして、無意味なことはしないはず。
それなのに水柱の中で捕らえているとはどういうことか。

思案顔で水月の話を聞いていたナルトが壁を背にしながら答えた。


「────生かす価値があるからだよ」


どういうことだ?、と視線で問う再不斬を手で制し、ナルトは【念華微笑の術】で鬼童丸と右近に、水月の話を伝えていた。

















ナルト達から遠く離れた場所。
今まさに【根】に潜入捜査していた鬼童丸と右近は、目の前に聳え立つ水柱を仰いだ。

ナルトの話を聞いて「水月の兄貴か…」と、水月と見間違えた存在を改めて見上げる。
水柱の中で、髪を漂わせて双眸を閉ざしている彼は、確かに水月そっくりだ。

水に満たされた柱。
機材に囲まれている柱からは数多のコードが繋がっている。

水柱の中心では、水月にそっくりな存在────水月いわく、彼の兄の鬼灯満月の口から、こぽり、と水の泡が吐き出される。
息をしているその様子から、死んではいないのが窺えた。

「いつから閉じ込められているんだか…」


水の柱に、驚愕の表情がみっつ、映っている。
鬼童丸と右近だけではない。
現在、右近に融合され、自らの身体を人質に案内させられていたダンゾウの部下の顔も驚きに満ちていた。むしろ鬼童丸や右近よりも驚いている。


「…ダンゾウ様はここでいったい何を…!?」
「──状況から察するに、人体実験かねェ?大蛇丸のことをバカにできねぇな」

部下である自分にも知らされていない目の前の光景に衝撃を受ける部下に、右近が嘲笑する。
からかい半分だが、残り半分は本気だ。

人体実験をしていたのではないか、と推測する右近の隣で、鬼童丸は状況をナルトに再び報告した。

鬼童丸から、満月が水の柱の中にいる報告を受けたナルトは、水月に視線を投げる。
満月の現在の状況を伝えると、水月は顔を苦々しげに歪ませた。

「ボクと兄さんが使う【水化の術】の弱点を的確についているね…」


己の体を自在に液体化させ、物理攻撃を無効化及び潜入や不意打ちなど高い戦略性を有する【水化の術】。
しかしながらこの術の盲点は、密閉された容器に閉じ込められると身動ぎできなくなるのだ。

「人体実験というより、閉じ込めて逃げられな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ