なんで休まないジャックさん!
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気味の沖田は見ず、遥か彼方に撒き上がっている砂塵を見た。
周囲は丁度、河と森に挟まれた地点。砦から半日離れた距離だ。砂塵の規模は大きい。小太郎仕込みの数の判別法だと……ザッと《一万》は下るまい。敵襲だった。沖田が顔を引き攣らせる。
「それ、絶対に災厄の女神ですよ。お祓い行ってください」
「はははは」
乾いた笑いだった。我ながら。
サーヴァントを探していた。そうしたら、確かに見つけられた。ただし、敵性体だったが。
向上した視力は捉えていた。それは――
「ペンテシレイア……呆れた執念だぞ……」
軍を率いる戦闘女王。それが、明らかに俺を探している。索敵しながら、『人類愛』の痕跡を辿りながら……。このままでは、彼女は砦にまで辿りついてしまうだろう。そうなれば虐殺の憂き目に遭う。
まったく……。運がいいのか、悪いのか。俺は沖田に言った。
「春。一旦砦に戻り、カーターに防備を固めさせてから戻って来い」
「! ……マスターは、どうなさるんですか?」
「俺か? 決まってるさ」
吐いた唾は飲めない。精々、強がるまでだ。
「地形は俺の味方をしている。俺を囮にして時間を稼ぎ、バカな部下どもが休めるよう、せめて一日は付き合ってもらう」
アマゾネスの女王との楽しいデートだ。エスコートは任せてもらわないとな。俺はそう言って、不敵に笑う。
――ああ、本当に。つくづく、楽はさせてもらえないらしい。
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