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リリなのinボクらの太陽サーガ
追憶のアンサング
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態はサバタさんと同じように治癒魔法が効果を発揮しなくなるけど、虚数空間にいる以上まともに使えないから今は関係ない。だから今、お兄ちゃんのLIFEを回復させるにはこれしかない!)……お兄ちゃん、トランス・ダークで私から吸血して!」

「な、何てこと言うんだサクラ! そんなことできない! それにこの攻撃は―――」

「いいから早く! このままじゃお兄ちゃんの体が持たないよ!」

「嫌だ! 僕はヒトから吸血だけはしない! その一線を越えてしまったら、僕は……! うぐ……!」

クロロホルルンに襲われている背中を中心に体中から血が流れ、貧血状態に陥って意識が朦朧となってくるジャンゴ。その上、

「しまった! 合身が!?」

あまりの奔流にジャンゴの体からおてんこが抜け出てトランスが解除されてしまい、おてんこはそのままいずこかへ流されてしまう。助けに行くどころか、むしろジャンゴがヤバいと判断したサクラはもはや一刻の猶予も無いと察し、ホテルからずっと着ていた浴衣の帯を緩める。
シュルっと音を立てて帯を抜き取ると、襲撃でボロボロになっていた彼女の浴衣が落下の風ではだけ、脆くなっていた部分が千切れ飛ぶ。自ら首筋を見せつけるようにジャンゴへもたれかかるサクラはまだ幼い容姿とはいえ、そこからは育ちかけの女の色香が漂っていた。

「お願い……私の血を吸って、お兄ちゃん。虚数空間に落ちた以上、二人で生き残るにはどんな形でも力を合わせなくちゃいけないんだ。うん、一緒に生きるためなら、私はお兄ちゃんに何をされたっていい。あの時から、私の命はお兄ちゃんのものだよ」

「グァ……だ、めだ! 僕は……守るんだ……! 守らなきゃ……また失ってしまう……!」

「守りたいのは私も同じなんだよ。だからお兄ちゃんが生きるため……ううん、二人で生き残るために私の命を使って。お願い、もっと周りを頼って! 私を受け入れて!」

「ア……、グ……い、やだ! もう……誰も失いたく、ないんだ!! だから……だか……ら……」

ピシッ……!

今、ジャンゴは太陽の戦士として意地だけではなく、一人の人間としての恐怖、兄としての矜持、それらを支柱に耐えていた。だが、意地だけではどうしようもない時もある。見る見るうちに吸血変異の影響が現れ、トランス・ダークを発動していないにも関わらずジャンゴはヴァンパイアになりかけていた。

「ぐ……こう……なったら、カーミラ! 僕を……石化するんだ!」

『え!? ですが……!』

「信じて! 君の力だけが……変異を止められる! 早……く!!」

『わ、わかった……あなたを信じるわ!』

カーミラの返事が聞こえた瞬間、ジャンゴの体が石に変化していき、同時に変異も強引にだが止まっていった。

「お、お兄ちゃん……
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