追憶のアンサング
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故で溺れかけている遭難者同然だった。
「はっ、はっ! 息が……わぷっ!! す、砂が口に……!!」
「サクラ! く、くそ、アタシの攻撃じゃビクともしねぇ……!」
「(このままじゃ、サクラが死んでしまう……! 完全に回復はしてなくとも、戦う力はある……! なら動くんだ! もう守れないのは嫌なんだ! 誰かを失うのは嫌だ!!)おてんこさま!」
「何をする気だジャンゴ!?」
「太陽ォー!!!」
サクラが自力では抜け出せず、他に戦える者がいない以上、自分が助けるしかないと悟ったジャンゴは、今出せる力を振り絞ってトランス・ソルを発動、ソルフレアの跳躍力を用いて自力で流砂から脱出する。一時的に上空に跳んだジャンゴはそのままヴァナルガンドの頭部へ向けて、ソルフレアの蹴りを放ち、自分諸共虚数空間の穴の中へ落ちていった。もう誰も死なせたくない以上、彼としては本能的に動かずにはいられなかった。例えそれが自分の命を縮めることだとしても。
今の一撃で拘束から逃れられたサクラは辛うじて上空に退避できたが、振り向いた彼女の目にはジャンゴの姿は映らなかった。砂の中の闇に消えた太陽……完全に見えなくなってしまった兄の姿に、サクラは彼の名を呼んで叫ぶ。
一方、ジャンゴはヴァナルガンドと共に虚数空間に落下していくのだが、両者ともに落下で身動きが取れずにいた。
「(ここが虚数空間か……まるで奈落だ)」
いつの間にか封印が解けていることとか色々問題はあるが、ひとまずヴァナルガンドが地上に出て破壊の限りを尽くす事態は避けられた。しかしこの場所では足場自体が無く、魔法でどうにかしようにも虚数空間では対策無しではまともに使えない。要するに、ハマった。
「あちゃぁ、我ながら盛大にミスったかも。これは、腹をくくらなきゃいけないかな」
『諦めないで! しっかりなさい、ジャンゴ!』
「え、この声、カーミラ!? 無事だったの!?」
『霊体に無事というのも変な話だけど、とにかくヴァナルガンドの抵抗は私の想像以上だった! だからあなたは生きて、あっちの世界で対策をしてもらわなくちゃいけない! こんな所で死んではいけないの!』
「だけどどうすればいいの? 空中じゃ僕は戦うどころか動くことすらままならないんだけど」
『…………困ったわね』
「君も打つ手なしなの!?」
『いえ。でも一瞬……ほんの一瞬でもヴァナルガンドの意識を奪いさえすれば、私の力でもう一度だけ封印できる。ジャンゴ、何か良い手は無いかしら?』
「絶対存在の意識を奪える攻撃……あ!」
今回の旅行の直前にレヴィからもらったメイスを、ジャンゴは待機状態から展開して取り出した。そこに宿るは次元航行艦の装甲をも穿つ、ビーティーのパイルバンカーの槍。あくま
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