追憶のアンサング
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お姉ちゃんにまっかせなさ〜い!」
「(やっぱりチョロい)」
「え〜っとですね。例えるなら二つの部屋があって、壁の防音が完璧だとします。片方の部屋では宴会や乱闘などでジュースが飛び散ったりどったんばったんいや〜んで騒がしくしても、もう片方の部屋には音が届きません。しかし音が届かなくても、騒ぎによる震動は届きます。あくまで例なので実際の現象とは差異がありますが、感覚だけならこれでわかるはずですよ」
「うん、途中変な例えが混ざってたけど、私も何とか理解できたよ。つまり虚数空間にいる何かが現実世界に出てこようと暴れたから、攻撃があったことはわからなくてもその震動……虚数反応がこっちに出たってこと?」
「はい。どれだけ膨大なエネルギーだろうと虚数値であれば静電気すら起きないほど無害なのですが、次元世界全体に行き渡るほどとなれば無視する訳にはいきません。なにせ虚数空間にいるのは……サクラ、あなたもオリジナルの記憶で知っているでしょう」
「……うん」
「だから私達もアレが彼女の力を凌駕してしまった時に備えて、虚数空間の仕組みを解析したり、対策方法を研究していたのですが……どうやら状況は私達の想像以上に悪くなっていたみたいです」
スカリエッティから虚数反応の話を聞いた時点で、ユーリやディアーチェ達は虚数空間で何が起きたのか察していた。だがその直後、先程の悲鳴込みの狙撃が再びユーリ達へ襲撃してくる。
「あれ、さっきので仕留めきれなかったんですか? よほど硬い強化服を着込んでるんでしょうね」
「ふむ、十分移動したし、ここ砂漠地帯なら無関係な人を巻き込む心配はない。丁度いい、我らはここで反撃に移る。サクラ達は地上に降りてしばらく身を隠し、私達が敵を引き付けたのを確認してからウルズへ向かえ」
「オッケー王様! サクラ、ジャンゴさんは任せたよ」
「うん、今度は私が守るよ。必ず」
そう約束するとサクラとディアーチェ達は二手に分離した。地上の砂漠、ちょうど狙撃ポイントから死角になる砂山の間に降りたサクラ達は、ディアーチェ達が敵の相手をしに引き返すのを見届ける。
「ごめんね、お兄ちゃん。おてんこさま、お兄ちゃんの傷の具合は?」
「防具無しで爆発の衝撃を受けたから相当なものだった。だが幸いなことに、サクラのおかげで深刻な事態にはならなそうだ」
「……んん?」
おてんこの称賛に、サクラは大きな違和感を抱いた。ジャンゴの怪我は最初、出血も酷い痛々しい無残なものだった。サクラは自分のつたない治癒魔法では、この怪我を塞ぐだけで2時間はかかると見込んでいた。しかしここに来るまでにかかった時間はせいぜい20分近く、しかも移動しながらだから治療効果も低いはずだった。
しかし今、ジャンゴの
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