追憶のアンサング
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の犯罪組織との接触によって自らの本質を、人間を、魔導師を、魔法を理解した。管理局が培ってきた価値観とは真逆の形でね」
「真逆って……」
「だから間違いなく、はやてんとは反りが合わない。だって……」
―――人の悪口はそこまでにしたらどうだい?
心にこびりつくようなねっとりした声が聞こえ、レヴィは「あちゃー」と頭を抱える。扉を開けて入ってきたのは、レイピアを腰に携えて連邦の軍服を纏った黒髪の青年だった。
「キュリオス・クライン……本当に君が来るなんてね。どうしてここに?」
「ふっ、これでも僕はミルチア正規軍の将軍だよ。相応の問題には相応の資格を持つ者が当たるべきだ。間違ってるかい?」
「そうは思わないけど……でも相応の問題って、この状況で連邦が動くというの?」
「さあね。だけどラジエルもアウターヘブン社も、何を考えているのかわかりにくいんだよ。レヴィ、君達は何を目的に動いている?」
「……」
「まあいいさ、上の命令なんてものは建前だ。僕はね、管理世界の人間を知りたいんだ。こいつらがどういう連中なのか、どんな価値観で僕達を見ていたのか、知っておきたいのさ」
他の世界のことを知りたい。はやてから見てクラインのその動機はまともで、純粋なものに思えた。だが……先程の話を聞いたせいか、それが真っ当な心から出た言葉だと思えなかった。
「(これは……確かに反りが合わんわ……)」
「ククク……待たせて悪かったね、八神はやて。それじゃあ始めようか、事情聴取を」
「はい、お願いします。では夜天の書の所有者であり、騎士を辞めた皆の代表として、私達が連邦に害を為す意思が無いと証明してみせます。それで何ですが……事情聴取を始める前に一つお伺いしたいことがあります」
「ほう、何かな?」
ゴクリと唾を飲み、額から大量の汗をかきながら、はやては満を持して答える。
「―――トイレ行ってきていいですか……!」
SOPの機能停止以降、はやての体調は最悪だった。なにせ数日前に食べたシャマルのケミカルダイナマイトウェポンをSOPの体調管理機能で耐え続けていたのに、それが無くなったからはやての腹は劇物の残滓に蝕まれ、何度も激痛を発生させていた。
「アッハッハッハッハッハッ!!!! そうか、君はずっと我慢していたのか! これは気付かずにいてすまなかったね!」
「ゴメンゴメン! トイレは部屋を出て右の突きあたりに―――」
「行かせるわけないだろう。今の君は容疑者なんだ、そんな自由は無いよ」
「え、ウソん……」
「行きたけりゃさっさと事情聴取を終わらせることだね。さあ、八神はやて……君の力を見せてもらうよ」
「と、とりあえず……オムツは用意し
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