追憶のアンサング
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どうして!?」
「ごめん、ね……サクラ。こうするしか……なくて……」
「お兄ちゃぁああああああん!!!!」
―――何この世の終わりみたいな声出してるんですか。
その声と共に虚数空間の中へ真っ赤な砲撃が降ってきた。その炎は石化したジャンゴとサクラを襲っていたクロロホルルンを焼き尽くし、一時的だが継続ダメージから解放される。
「全く、世話が焼けますねあなた達は」
サクラと同じだが低い声、それはもう聞くことは叶わないと思っていた、彼女のものだった。
「え、えぇ!? シュテルちゃん!?」
「はい、シュテルです」
理のマテリアル、シュテル・ザ・デストラクター。彼女の姿は最後に見た時とほぼ同じだったが、服装が少々変わっていた。バリアジャケットがここでは上手く展開できないのか、最小限の魔力で済むデザインになっていて……。
「って、まんまジャージじゃん! しかも赤地に白黒のラインが入ってるから、余計そんな風に見える!」
「何言ってるんですか。魔力を補充できない虚数空間で魔導師が活動するには、最小の魔力消費で済むこれが最も適した恰好なんですよ」
「それなら上だけじゃなくて、ズボンも展開してよ!? パンツ見えちゃうから!」
「誰かに見られる訳じゃありませんし、別に良いじゃないですか。動きやすいですし、スースーして気持ちいいですよ」
「私! 私見てる!!」
「ですが以前、諸事情でストレスが溜まってとにかく盛大に鬱憤を晴らしたくなった時、私一度だけ森の中を全裸で全力疾走してみましたが、非常に爽快な気分になれましたよ」
「気分転換と一緒に常識も変換しちゃった!? っていうかシュテルちゃんって痴女!? 実は露出狂なの!?」
「いえ、私だって有象無象の他人に裸見られたくはありませんよ。ですが、ここは虚数空間です。どうせ誰もいないのですから、魔力とエナジー効率を考えたらいっそ全裸の方が……」
「やめて! 関係が少しややこしいけど、私とシュテルちゃんはほとんど同じ顔と体型してるから、間接的に私も全裸晒すことになっちゃう! いくら事情があろうと、外で裸になるなんて普通に恥ずかしいことなんだからね!」
「あの……サクラ? 今の自分の姿を鏡で見たらどうですか」
シュテルのジト目を受けてサクラは自分の恰好を見つめ……叫ぶ。
「うわぁぁあああああ! しまった! 私、現在進行形で全裸だぁああああ!」
「まあ下着はつけてるんですから、貞淑な部分は隠せてますよ」
「フォローになってない! あぁ〜私、色々ブーメランだぁ〜!」
「ふふふ……なんだかんだ言ってサクラも大胆ですね。元が同じだから似ている部分も自然と多くなるのかもしれません」
「元と似ていると言われるの
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