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艦隊これくしょん〜男艦娘 木曾〜
第七十六話
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一人で戦うことを考えていた俺としては、まだ不知火と五十鈴がいるというだけで、かなり心強い。
 まぁ、不利ってことは変わりないのだが。

「こっちは、若葉と夕立は確認した……が、なんか二人で追いかけっこしてたから戦力外だ」
「……夕立さんならやりかねませんね」

 冷静に考えたら、味方同士で追いかけっこなんて馬鹿な話だが、冬華が居るってだけで説得力が倍増する。出会って一日の不知火ですらこの言い様だ。

「まぁ、それはさておき……取り敢えず、五十鈴や弥生と合流──」
『弥生ちゃん確保ー!残りは、夕立ちゃん、五十鈴ちゃん、不知火ちゃん、若葉ちゃん、そして、木曾さんの五人です!早く捕まえて、木曾さんの手料理食べましょう!!』

 これからの行動指針を話そうとしたら、そんな放送が流れてきて、思わずスピーカーを凝視した。

「……なんだ今の放送」
「え?確保された人を知らせる放送ですよ。聞きませんでしたか?」
「……ああ。一階には流れてなかった」

 どうやら、一階には放送は流されなかったらしい。拓海や春雨の配慮だろう。
 ……まぁ、俺があの場面に集中しすぎていたというのもあるだろうが。

「それはさておき……弥生が捕まったか……早いとこ五十鈴と合流して、その間に作戦考えとこ……」

 できる限り、俺じゃなくて、不知火や五十鈴が主役の作戦にしないとな……と、不知火の顔を見ながら考えていた。




─執務室─



「千尋さんも動き始めました!」
「…………お、やっとか」

 阿武隈と千尋、そして若葉が一堂に会していた状況から、若葉が窓から出ていき二階へ、そのあとを追うようにして、どこからかやってきた冬華も窓から二階へ。そして、千尋が阿武隈に背を向けるようにしてその場を離れていった。

「なんか話し込んでたみたいですけど……何話してたんでしょうか……?」
「……まぁ、僕にとってはあまりよろしくない話だろうなぁ…………」

 僕や千尋に対して敵意丸出しだった若葉だ。千尋に罵詈雑言を吐いていてもおかしくない。
「……あの、拓海さん」
「ん?どうしたの?」

 春雨が地図上の駒を動かしながら、おずおずと僕に声を掛けてきた。

「えっと…………何となくですよ?何となくですけど……若葉ちゃん、似てませんか?」
「誰に?」
「……木曾さんに」

 春雨が木曾の名前を出した時、若干だが、物悲しそうな顔をしていた。

「うん……そうだね。あれは、『魔神』と同類の人間だ。自分の全てを捨てて、他人を護れる人間だ」

 護ることのできる人間なら、腐るほどいる。ただ、その「護る」には、自分も含まれていることが大半だ。
 だが、木曾や若葉、千尋なんかは、自分を捨てきることができる。できてし
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