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人理を守れ、エミヤさん!
幕間の物語「過去の出会い」
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だ。
 「笑うものか。苦悩(それ)を笑えるのは――笑っていいのは、世界が光で満ちていると無邪気に信じられるガキだけだろう」■■の言葉に門司は破顔した。理解者が得られた、とでも思ったのかもしれない。誰にも理解された事のない苦しみだったに違いないのだから。

 ――意識が浮上する。朧気に目を覚ました沖田は、自身の体が上下に揺れているのを悟った。

「……マスター?」
「ああ、春。まだ休んでいろ。何かあれば起こす」
「はい……」

 馬上で、沖田は■■の前に座っていた。背中に感じる熱は主人の体温なのだろう。
 限界まで体力を使い、その上で病魔に襲われた沖田は精神的にも疲労困憊だったのだ。気絶するようにして眠りに落ちた沖田は主人に抱き上げられて、黒馬に相乗りし移動しているらしい。
 どうやら無事戦には勝てたようだ。ホッと細い息を吐き、沖田は安心した。
 先刻の戦で生き残った七人の兵士もいる。戦いの最後、■■が落馬したのを受け止めた辺りで沖田は力尽きていた。故に主人が名を亡くしているのにもまだ気づいていない。
 サーヴァントに睡眠は必要ないが、休息を取る為に意識を落とす事はある。魔力の節約にもなる。心地好い揺れと背中に感じる暖かさに微笑み、微睡むようにして沖田は再び眠りに落ちた。

 ――夢の続きを見た。

 門司と■■は同じ旅の道中にいた。その最中に暴漢に襲われたらしい女を救ったのだ。西洋の街中の事である。門司は助け出した後に、その女の正体に気づき顔を引き攣らせる。既知の間柄だったようだ。
 病弱そうで、儚げでありながら品のある女は殺生院祈荒と名乗った。十代後半、或いは二十歳の年頃らしいキアラも門司を見るや、やや逃げ腰になっている。■■はそんな門司を笑った。腰が引けてるぞ、まるで獅子に出くわした小鹿のようだと。
 キアラはキアラで、助けてくれた相手をそのまま帰すのは礼に反するとでも思ったのか、門司から視線を外して■■を見る。菩薩のようにたおやかな笑みを湛え、■■を自身の宿に誘った。門司が忠告する、この女には関わらん方がいい、と。

 しかし■■は気安く応じた。女性の誘いを断るなど男の風上にも置けないなんて嘯いて。何故だか沖田にとって、無性に腹が立ついい笑顔だった。
 のこのこ付いて行く■■に、門司は慌てながらも見捨てなかった。彼なりに友情を感じているらしい。仕方なさそうに■■の後を追うも、キアラは丁重に彼に帰ってもいいですよと告げる。これに門司は「お主に■■を誑かされて堪るか」と返した。

 彼女の宿は、平凡なホテルだった。門司はやや意外そうにするも、沖田の主人だけは気づく。「ラブホだこれ!」声に出さない■■の動揺が沖田に伝わる。
 戦慄する■■はキアラは海外歴が浅く、門司も海外のこの手の施設に無知なのだろうと自身
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