暁 〜小説投稿サイト〜
英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
第94話
[1/7]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
7月4日―――

――7月に入り、帝都近郊のリーヴスでも夏の季節を迎えていた。しかし、本年度から軍学校としての本分に戻す名目で夏服の選択が廃止されており―――本校、分校の区別なく、制服の裏地を外すだけの対応となった。

暑さも本格化し始めて、多くの生徒達が辟易する中―――本校・分校と合同となるある行事が始まろうとしていた。


4限目 帝国史


「今週からは”人物史”という観点から歴史を切り取ってみよう。まずはご存じ、帝国中興の祖、ドライケルス・ライゼ・アルノール。250年前の獅子戦役を終わらせ、帝国の近代を導いたという人物―――ヴァリウスX世の第三皇子だった彼は庶出の身のため、幼い頃から帝国各地を放浪していたそうだ。そして帝国辺境の地、ノルド高原にて遊牧民たちに受け入れられて時を過ごす。そんな中、帝国本土から血みどろの内戦の報せが届けられた。元々、皇位継承権から外れていた彼だったが泥沼と化した内戦を捨てておけず、ノルドの地から挙兵する事になる―――手勢は僅か17名、腹心の騎士ロランにノルドの戦士だけだったそうだ。そして半年後―――ドライケルス皇子は帝国南東のレグラムで運命の邂逅を果たす。”鉄騎隊”を率いた伯爵家の娘、リアンヌ・サンドロット―――”槍の聖女”とも謳われた英雄だ。」

「あのっ、質問なんですけど!ずっと前から気になっていたんですけど、分校長って聖女リアンヌ本人なんですか!?」
リィンが説明をしながら黒板に説明の内容を書いているとサンディが質問をし、それを聞いたリィンが手を止めて生徒達を見回すと生徒達もそれぞれ血相を変えていた。
「た、確かに…………ずっと気になっていました。」

「聖女リアンヌといえばおとぎ話にも出てくる有名人…………」

「容姿、名前、そして実力もまさに本人かと思われますが、異種族でもない人間であったサンドロット卿が250年以上もあんな若々しい姿で生き続けられるとは思えませんが…………」

「で、どうなんや!?」
サンディたちに続くように次々と質問してきた生徒達の質問に”真実”を知っているZ組の生徒達はそれぞれ冷や汗をかいた。
「…………確かに、分校長は本物としか思えない人物だ。だが、デュバリィ教官達の件からもわかるように分校長もかつては”結社”という犯罪組織の一員だった為、デュバリィ教官達のように結社のコードネームとして聖女を騙っている可能性もある―――そのあたりは保留にしておこう。―――ちなみに本日7月4日は254年前に獅子戦役が終結した日だ。設問内容は教えられないが獅子戦役前後の範囲は出る見込みだ。しっかりと復習するといい。」
リィンの説明を聞いた生徒達はすぐにノートにリィンの助言内容を書き始めた。
(………うーん、悔しいけどわかりやすいし丁寧なのよね
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ