第94話
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そうでしたね。お二人とも今はバーニエに戻っているんでしたか。」
トワの口からアンゼリカとジョルジュの名前が出ると二人の”現状”はどうなっているかをメンフィル帝国からの情報で知っていたリィンは一瞬複雑そうな表情をした後すぐに気を取り直して答えた。
「うん、そのはずだよ。二人とも忙しいみたいでちょっと連絡が取れてないけど。うーん、でも二人ともいいなぁ。」
「えっ、それって…………でもアンゼリカさん、”ああいう”趣味ですよね?」
トワの話を聞いたリィンはアンゼリカとジョルジュが互いを想いあっている関係である事を察すると驚きの声を上げた後、苦笑しながらトワに確認した。
「ふふっ、付き合いも長いし、そんな感じじゃないかもしれないけど…………それでもやっぱり、同性の親友とは違うものを感じるんだよねぇ。身分の問題とかもあるかもだけどもしそういう話になったらいっぱい祝福したいと思ってるんだ。―――多分クロウ君も同じだと思う。」
「…………そうですか。俺は彼の事についてはよく知りませんが、先輩達と同期で、そしてアリサ達のクラスメイトでもあったのですから、自分にとっての友人であるお二人の事を先輩と共に真っ先に祝福するでしょうね。」
「うん、そうだね。…………そういえば、結局リィン君達”特務部隊”の人達はクロウ君とは敵同士の関係で終わっちゃったけど…………ちょっと残念だったな。リィン君達はクロウ君の良い所とかを知る事もなく、お互いを”敵”としてしか認識しなかった関係で終わった事に…………デュバリィ教官達みたいに和解できる機会はきっとあったと思うんだ。」
リィンの推測に頷いたトワは寂しげな笑みを浮かべた。
「まあ、彼女達の場合はリアンヌ分校長のお陰という事もありますが、俺達がパンダグリュエル制圧作戦にて彼の仲間であった”V”と”S”の命を奪った事で彼に恨まれていたとはいえ、内戦が終結し、お互いが冷静になれる期間ができれば”友”として接する機会を作る事ができたかもしれませんね。」
「…………うん。―――リィン君、あの仮面の人とか、家族のこととか、一人で考えることないんだからね?旧Z組やサラ教官、特務部隊の人達、それにアルフィン殿下はもちろん、たまには新Z組の子たちだって弱音を吐いてもいいと思う。その…………もちろんわたしにも。」
「トワ先輩……………………」
トワの助言に目を丸くしたリィンはその場で目を伏せて黙り込んでいた。すると雨は降り止んだ。
「あ…………!」
「…………止んだみたいですね。」
雨が降り止んだ後リィンが傘をたたんで、トワと共に空を見上げると夜空に星々が輝いていた。
「わあっ…………!」
「凄いな…………星がよく見えますね。」
「うん、ちょうど雲が風で流されたのかな…………?ふふっ…
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