第五章
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幻術師の男、名を林毛という彼は自分の術で街の人達を全て元に戻した。こうして騒動は一件落着となった。
超と曹は全てを見届けた後で成都に戻りギルドから依頼を成功させた報酬を受け取った、その後でだった。
二人で四川料理の店に入って火鍋を食べた、酒は中国産のワインを注文しそれを楽しんでいるとだった。
張の手にあるものが宿った、それは何かというと。
「沙悟浄の衣や」
「西遊記のかいな」
「そや、あ緑の服でな」
それでというのだ。
「相当な力があるわ」
「どんな力や」
「身に着けるとな」
どうなるか、張は曹に心の中で聞こえる言葉をそのまま話した。
「あらゆる攻撃、特に悪霊とかの攻撃からな」
「身を護ってくれるか」
「狐の霊力でな」
九尾の狐のそれでというのだ。
「そうしてくれるわ」
「それはまたええ衣やな」
「そやな、それでな」
辛い火鍋の中にある羊肉を薄く切ったものを食べた、他には野菜や豆腐も入っている。そういったものを食べつつ言うのだった。
「神託を乗り越えて」
「それでやな」
「わっち自身も全体的に一回りな」
どうなったかというのだ。
「強うなったわ」
「それは何よりやな」
「ほんまにな、ほなな」
「ああ、これからな」
ワイン、赤のそれを飲みつつだ。曹は張に応えた。
「今はな」
「この火鍋を食べて」
「辛いけど美味いな」
「そしてな」
張もワインを飲んだ、辛い肉料理によく合うワインだ。
「お酒も飲んで」
「しっかりとな」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「満足した後で」
「この成都を後にして」
「それでや」
「次の場所に向かうな」
「そや、神託を適えてもな」
「僕等はこの世界を救うのが目的や」
「そやからまた行くで」
張は火鍋の熱さと辛さ、ワインの冷たさと甘さの両方を楽しみつつ言った。一つのやるべきことは終わったが自分達のやるべきことが終わりではないことはわかっていた。それで既にそちらに心を向けているのだった。
人のいない街 完
2019・4・24
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