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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 19
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日の夜、お父様は取り調べの際にこう話していたそうよ」

 『自分は……セイレスに何もかも任せっきりで……なのに、アイツの不貞の理由が、自分にあったなんて……考えもしなかった……。考えたくもなかったんです……。だから、アイツを責めて、捨てて……。……頼れる人間が身近に居ないって感じる事が、こんなにも辛い、なんて、知らなかった……。自分は、キースに……セイレスに……クァイエットに……何も、してやれて、なかった……。もう、何もして、やれないんだ……』

 「……不貞……? 母さん、が?」
 「それが、ご両親が離婚を選んだ理由よ」
 誰だって最初は親じゃない。子供を産んだ瞬間に役割を切り換えられるほど器用な生き物でもない。時間と経験を積み重ねながら、少しずつ変わっていくものよ。
 そんな、家族として皆で積み重ねていくべき時間と経験の総てを、お父様はセイレスお母様一人に背負わせてしまっていた。
 我が子の命と将来、母としての役割、妻としての役割、ガナルフィードさんがガナルフィードさんである事、セイレスさんがセイレスさんである事……その総てを一人で背負えるだけの強さが、セイレスお母様には無かった。
 覚悟が有っても抱えきれない責任感や疲労、分かち合えない寂しさや、何故自分ばかりがと考えてしまう怒りや、誰も理解してくれないという鬱屈した思いや、そんな自分への嫌悪感。終わりが見えない辛さに延々と付き纏う、底無しの泥沼に沈んでいくような息苦しい悲しみと恐怖。
 そうした孤独(やみ)を、ご自身が身を以て経験するまで、お父様は全く理解できていなかったの。
 「経験が無い物事の本質に理解を示すのは、とても難しい事よ。周りが理解の無さを責めたところでどうしようもない。だって、本質を理解できていなければ、何故責められているのかも、本人には決して解らない……責められること自体が、本人にとっては理不尽なのだから。ただ、お父様はセイレスお母様の孤独に寄り添えなかった。そして、お父様にも我が子を一人で支えられるだけの強さが無かった。それだけがお父様の事実で、お父様が貴方達兄弟に遺した真実」

 『ごめんな……。こんな駄目な奴が親で……本当に、ごめん……』
 
 「母さん、が……不貞……?」

 そんなの……知らなかった。
 ずっと、父さんが身勝手な理由で一方的に出て行ったんだと思ってて、恨んで……なのに。
 なんでそんな、今更……………………

 「…………ああぁぁあ!! クソッ!」

 頭の中がごちゃごちゃして気持ち悪い。
 首をぶんぶん振り回しても、髪が乱れるだけで、ちっとも落ち着かない。
 情報が所々一致してるってだけで、本当の話かどうかも判らないのに、何処かで納得してる自分にイライラする。

 『ごめん、なさい、クァイエット……、ご
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