欠ける無限、禁忌の術
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剣の炉から剣の投影が成され、掃射を精密に。同時に馬上から双剣銃を操り、仲間の兵士を斬り殺した戦士を射殺する。隙だらけの兵士を殺そうとする戦士を未然に撃つ。横合いから士郎へ斬りかかってくる戦士を逆に叩き斬った。
しかし士郎とて人間だ。限界はある。頭は一つ、体も一つ、腕は二本。戦士が同時に三人躍り掛かってきた。士郎はなんとか二人を射殺するも、背後から士郎を突き殺さんとする槍兵に対処が間に合わない。
『防弾加工』を――駄目だ、間に合わない――致命傷だけは回避――そこまで考えた瞬間、
「BOSS……ッ!」
戦士の前に兵の一人が割り込み、その槍の穂先に穿たれた。鮮血が士郎の貌に飛び散る。胸を貫かれた兵士は槍を掴んで離さない。血反吐を吐いている。
「馬鹿野郎ッ!」
悲鳴にも似た叱責を飛ばしながら士郎はその戦士を撃ち殺す。戦士が斃れたのを見届け、兵士は事切れてその場に崩れ落ちた。
士郎を庇った兵士に息はない。既に死んでいた。
「オオオォォォァァアアアア――ッッッ!!」
瞼の裏で火花が散ったようだった。憤怒に燃える鉄心は赤熱し、その気迫が臨界を超える。
鬼神が乗り移ったかの如き咆哮が迸り、感化された黒馬が猛々しく嘶く。その眼が充血し、凶相となった黒馬が後肢で後方を蹴り抜く。士郎の意図しない動きだが、それは背後のケルト戦士を蹴り穿ち怯ませた。士郎は即座に戦士を撃った。黒馬が興奮状態となっている。士郎は彼女の体を強化した。鬣が揺らめく程の狂奔。手綱を受けるや疾風の如く駆け、前方のケルト戦士の胸骨を頭突きで砕いた。
血戦は泥沼だった。如何に士郎が奮迅の活躍をしようとも関係がない。やがてケルト戦士の数は両手の指で数える程度となる。兵士が三人掛かりで一人を斬り殺すも、即死しなかった戦士は三人の首を纏めて刎ね飛ばしていた。更に走り、悪鬼の如き形相で手近の兵士の首を脇に挟み、へし折りながら剣を投げる。その刃が捨てた銃を拾った所の兵士の首に突き刺さった。そうして背後から兵士に心臓をサーベルで貫かれ、今度こそ息絶える。
兵士達はよく戦った。弱兵とは思えない働きだと断言出来る。だが――それでも。生き残ったのは、僅か七名だけだった。
「■■■■■■――ッッッ!!」
九十三名の骸が、自らの作った血溜まりに倒れ伏している大地で、士郎は言語にならぬ絶叫を迸らせる。憤怒を超えた激怒、赫怒……その裏に潜む非憤。
生き残った兵士らも無傷の者はいない。戦友の返り血のみならず、自身らも大小の傷から出血していた。あらゆる苦悩を圧し殺し、士郎はガーゼと包帯を投影する。幸い近くは水辺だ。
「傷口を洗い、こびりついた汚れと血を洗い落とせ。応急手当をした後……先に逝きやがった奴らを一ヶ所に集めろ」
兵士らは肩で息をしなが
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