SS11 ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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へと伸び、空間に広がっていった。
『馬鹿な…、そんなことが…一匹の魔獣にできるなんて…ことが、あってはならない。』
「キュゥべえ?」
『カズ…、否、オオカミの魔獣…、君は、宇宙を滅ぼす気か?』
『その通りだ…。』
キュゥべえの問いに、カズは答えた。
『オレ達を否定した世界…、違う…、地球だけじゃダメだ…。インキュベーター…お前達も…オレは許さない。お前達がいなければ、魔法少女システムは生まれなかった。そして、ミチルは、魔女にならなかった。オレが、生まれることもなかった!』
カズが立ち上がり、両腕と翼を広げた。
「キュゥべえ! 何が起こってるんだ!?」
『彼は、宇宙の因果に干渉して、エントロピーを加速させようとしている。』
「それって…。」
『そう…、宇宙を喰らい尽くす気だ!』
すると、カズの体がまた大きくなった。
「カズ…、カズどうしてそこまで…。」
『地球の上で、インキュベーターの掌の上で魔法少女システムがある限り…、カンナは…、ヒュアデスにはなれない。』
「カズ…。」
『ならば、宇宙を滅ぼし! 新たな宇宙を創成するまで! そうすれば、真にカンナは本物になれる!!』
『宇宙を滅ぼしてまで仮初めの命から本物に昇華したいのか? 君らは、僕らインキュベーターのエントロピー回避も、宇宙のために死んでいった魔法少女の全てを否定するというのか? わけがわからないよ。』
『じゃあ、聞くが! お前達は、宇宙の滅びの先を知っているのか!?』
『決まっている。“無”だ。そこには何もない、無、しか残らない。』
『オレには見える……。オレとカンナの楽園が…!』
「カズ! カズ! ステキよ!!」
『そんなモノは、君らの妄想だ。』
『宇宙が滅んだ先のことを見たこともない奴が、戯言を言うな!』
「私が…、名付けてあげるわ…。あなたは、私のオオカミさん。ヒュアデスの世界を、いや、宇宙を誕生させる、滅びのオオカミ……。その名は…。」
ヒュアデスのフェンリール(ヒュアデスの銀狼)
フェンリール……、それは、とある神話において、神々の王を預言通り食い殺した巨大なオオカミの名。
「宇宙(神)を滅ぼす、オオカミにふさわしい名前だよ。カズ。」
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