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ヒュアデスの銀狼
SS11  ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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かずみだったが、カオルの呟きに、このグリーフシードが誰のモノであるか理解した。
「ミチルのグリーフシード……。ミチルが海香とカオルを助けようとしてるんだよね?」
『グリーフシードに意志なんてない。』
「でも、私には分かる……。ずっとミチルは、私と一緒に…。みんなと一緒に戦ってくれたんだよ…。」

『……。』
「カズ…。」

 カズは、黙って、その光景を見ていた。
 かずみが、そして、ミチルが…、カオルと海香を救うのを。
 ソウルジェムが浄化されたことで、二人が起き上がった。

『ミチルは……、可能性であり得たかも知れない、オレさえも否定するか。』

 カズの言葉に、ハッとしたかずみがカズを見た。
「違う! それは違うよ!」
『なぜ、オレはオオカミになったんだ…。オレは何のために生き返った…。そう、悪い子(魔女)を食べてしまえというお告げだろうな。』
「カズ!」
『オレの基になった奴にすら否定されたオレに……、もはやこの世界に居場所はない…。」
「カズ…。」
 カンナがカズの頭を撫でた。
『カンナ…。終わらせよう。』
「!」
『決めてただろ?』
「それは…、最後の切り札であって…。」
『かずみを絶望させるには、もうこれしかない。やろう!』
「っ…。」
『強制進化か。』
「どういうことだ!?」
『…知ってたか。』
『認識されないよう魔法を使われていただけであって、僕はずっと君達のことも見てたんだ。魔女ではなく、魔獣たる君の、グリーフシードを食べることで進化する特性…、興味深くはあるね。しかし、聖カンナ、君がコネクトで縫い合わせた君のオオカミの魔獣は、それに耐えられるのかい?』
『耐えられるか、じゃない。耐えるんだ。カンナ!!』
「……分かった。」
「やらせない!」
『オレ達を止められるものなら、止めてみろ!!』
 カンナが飛びレイトウコへ向かった。それを止めようとするかずみ達の前にカズが立ちはだかる。
「リーミティ・エステールニ!!」
 かずみが放った破壊の魔法が、カズの胴体を抉った。
 グズグズとカズの腹が溶け、内臓がドチャッと落ちる。
『ふっ…、どうやら、オレとかずみは相性が悪いようだな。』
「カズ…。」
 グロテスクで痛々しい有様に、かずみが震えていた。
『さあ、怯えてる場合じゃないぞ? オレを止めたければ、オレを完全に、殺せ!!』
「かずみ! 行け!」
「あなたの魔法だけが、オオカミの魔獣を倒せる切り札よ!」
 二人の声を受け、決意を固めたかずみが、再び破戒の魔法を放った。
 それをカズは、巨体からは想像も出来ない速度で避け、かずみを喰らおうと大口を開けた。
 すると、横からカ
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