SS11 ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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多少の浄化があったことと、魔法を使うのをセーブしていたことにあるのだろうと語った。
『グリーフシードを使えば事足りることを、僕という素体にグリーフシードを組み込んで創り出した新たなシステムは、とても興味深かったよ。』
キュゥべえが、倒れている海香とカオルの方を見た。
浮き上がっている二人のソウルジェムが、濁りに濁り、限界が来ていた。
『もう間もなく、二人の魔女が生まれる。』
「キュゥべえ! 二人のソウルジェムを浄化して!」
『僕にそんな機能はない。ソウルジェムを浄化する方法はひとつだけさ。』
「グリーフシード!」
かずみが、双樹の魔女を見た。
そして、力を振り絞って倒す。だが……。
「残念。魔女が必ずグリーフシードを落とすとは限らないんだよね。」
カンナがカズの背中に乗ってくつろぎながら、クスクス笑った。
「そんな! じゃあ、海香とカオルは!?」
『君の知っている通り、魔女になるしかないね。』
「さあさ、早くカズに食べられるための、メインディッシュになって。
「やだ! そんなの、イヤだよぉ!!」
かずみが、倒れている海香とカオルに駆け寄り二人の手を握った。
すると、リンッとかずみの耳にあるピアスが鳴った。
そして、意識がなかった二人が目を覚ます。
「海香! カオル!」
『信じられないな。ソウルジェムは、すでに臨界点を超えている。いつ魔女化しても不思議じゃない。」
「魔法少女システムの否定…、それが私達の戦い…。」
「希望が絶望に変わるとき、ソウルジェムは燃え尽き…。グリーフシードになるんだよな?」
『そしてグリーフシードは、魔女を生み出す。』
「なら、私達は魔女になんかならない!」
「ああ、あたし達は、絶望なんて、絶対に、しないから!」
「グランマがミチルに……。」
「ミチルが私達に教えてくれた……、希望があるから!!」
次の瞬間、大きなお腹が鳴る音が聞こえた。
海香とカオルは、にやりと笑うが、カンナとカズは、キョットーンである。
「海香…カオル…。帰ったら、イチゴリゾット食べようね!」
しかし、二人は青い顔色で返事をしない。いや、もうその余力もないのだ。
『魔女化もせず、グリーフシードも生み出さず、死を迎える。それが君達の意志というわけか。だが前例はないよ。』
「なら…、私達が前例になる!」
「ダメ! 私をひとりぼっちにしないで! 海香! カオル!」
かずみが涙を流した、その時。
リィンっと音が鳴り、ひとりでに左耳にあるピアスが外れた。そしてほどけるように形が変わり、その中から、まだ濁っていないグリーフシードが現れた。
「これは…。」
「…ミチル……。」
ぼう然とする
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