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ヒュアデスの銀狼
SS11  ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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カズの方を見ると、倒された魔女のグリーフシードを舌に乗せて口に運んでいた。
「ちくしょう! アイツ(オオカミの魔獣)の腹の中だ!」
「だ、だいじょうぶ…。私が取ってくるから…。」
「ムチャだ! かずみはもう…。」
「……今までありがとう、海香、カオル。」
 体が変色し始めたかずみが、ピアスを鳴らした。
 すると、ドクンッとかずみのソウルジェムが胎動を始めた。
「っ…。」
「かずみ。私のオオカミさんなら、助けてあげられる。だから、一緒に行こう?」
「ぅ…、ぁあ…。」
 カンナが魔女・サキに乗って、かずみに近づいた。
 すると…、突如魔女・サキが暴れ出した。
「なっ!?」
 カンナを振り落とし、宙へ浮いた魔女・サキに、残った魔女達が群がる。そしてズタズタに引き裂き、噛みちぎり、魔女・サキを殺した。
 そして、死んだ魔女・サキからグリーフシードが落ちた。
「サキ…! あんたって子は…!」
「分かってる!」
 カオルと海香が、サキのグリーフシードを拾い、かずみのソウルジェムに当てた。途端、グリーフシードにソウルジェムの濁りが吸い取られ、それと共にかずみの体の変調も消えた。

『姉妹愛…か…。』
「ふん…。魔女になってまで妹とミチルに固執するなんてね。」

 かずみが起き上がる、だがソウルジェムが限界を迎えそうになっているカオルと海香は倒れていた。
「カオル! 海香!」
「ぐ、グリーフシードを…。」
「そうだ…、アイツに喰わせるんだ…!」
 徐々に封じていた記憶が蘇る。
 そして、叫ぶ。

 キュゥべえ、と。

 その瞬間、あすなろ市の上空にあった魔法の方陣が崩壊した。

 そして、ジュウべえと似た、けれど、白い体のソレが現れた。

『…久しぶりだね。プレイアデス。』

 キュゥべえは、孵化寸前のサキのグリーフシードを尻尾で拾い、投げるようにして背中の口に放り込んで飲み込んだ。

『そして、初めましてか。オオカミの魔獣。』
『お前が、魔法少女システムの元凶か?』
『元凶? 確かに僕らは、魔法少女を生み出したさ。けれど、それを選んだのは彼女達だ。』
 そこから、キュゥべえは、倒れている海香とカオルと会話し、あすなろ市全体を覆う結界を張り、キュゥべえの存在を認識できなくして抹殺する方法を取ったことが明らかにし、そして、魔法少女システムに逆らうために作り上げたジュウべえが、魔法少女が魔女になる瞬間に発生するエネルギーを回収するためだけに存在すると言っても過言ではないキュゥべえ達、インキュベーターの体を素体にしたことが失敗だったのだろうと分析して語った。だが、今日まで魔女化しなかったのは、ジュウべえが食べたグリーフシードによる
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