SS11 ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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かずみだった。
先ほど踏みつけたのは、魔法で作られた分身の人形だった。
「イル・フラース!!」
サキのそれを越える電撃がカズの体を焼いた。
『ぐああああああああああああああああああ!!』
全身が、細胞の一つ一つが焼かれるのを感じ、カズは倒れ込んだ。
プスプスと全身から煙を出しながら倒れているカズに、かずみが杖の先を向けた。
「ねえ、カズお兄ちゃん…。」
『さっさと、とどめ……さ、せ…。』
「どうしても…、私達と一緒にはいられないの?」
『無理だ…、オレは、オオカミだ。遅かれ早かれ、どうあがいても喰らうことを止めることはできない。何より、……オレのせいでかずみの魔女化が進んだんだ。」
「どうして?」
『オレが、かずみと同じ、マルフィカ・ファレス(魔女の肉詰め)だからだろうな…。しかも、オレは、これまで数え切れないほどの魔女と、魔法少女を喰ってきたんだ…。そんな罪深いオオカミに…居場所なんて…ない。だから、お前が選んだ世界を救いたいなら…、オレを…殺せ!』
「私は…ただ…!」
『……甘いな。』
「そうだね。カズ。かずみ、君には少し失望したよ。」
カズの呆れた声に同意したカンナが、ヤレヤレと肩をすくめた。
次の瞬間、尻尾の一本が振られ、かずみの体が吹っ飛んだ。
「あ…が…。」
「かずみ!!」
『かずみの、破戒の魔法なら…、オレの超再生力も凌駕する破戒でオレの復活を防げたはずだ…。』
カズは、何事もなかったかのように起き上がる。
カズは、そこいらに落ちている、グリーフシードを舌を伸ばして広い、口に運んでかみ砕いた。
『かずみ…、オレの決意を見せてやるよ。』
「うぅ…ぅ…。」
「かずみ、もうやめろ! 限界だ! ジュウべえ!!」
『ほい来た! ……あれ?』
カオルがかずみを介抱し、ジュウべえにソウルジェムの浄化をさせようとしたが……。
突然、ジュウべえの体がポロポロと崩れ始め、そして、溶けた。グリーフシードの残骸を残して…。
「! ソウルジェムが…。」
カオルと海香のソウルジェムが離れ、濁りの色が浮き出てきて変身が解けてしまった。
「アハハハハ! ようやくか。どう? これが真実さ。」
「カンナ? 真実…?」
「思い出しなよ。どうやってソウルジェムは、浄化できるのかを。」
カンナは、わざと助かる道を教えた。
「浄化……、ハッ!」
カオルが気づき、死んだジュウべえから出てきたグリーフシードの残骸を拾った。
「くそ! 使い物にならないか!」
「うぅ…。」
「まずい…かずみも限界だ!」
「グリーフシード…、そうだ、グリーフシードでソウルジェムを浄化できるんだ! けど…。」
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