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ヒュアデスの銀狼
SS11  ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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。お兄ちゃん? どうしても私達と一緒にはいられないの?」
『オレも…、決めてるんだ。どこまでもカンナと共にいようと。そのためなら、かずみも殺す。』
「そんな…。」
『最後に…、お兄ちゃんって、認めてくれてありがとう。』
「カズ!」
『カンナ。迷う必要は…もうない。
「…そうだね。かずみは、私達を否定した。それに説得の余地もなさそうだし。始めようか。」
「カンナ!」


 その時、バリンッと、魔女・サキの結界が一部割れた。
 すると、外側からぬいぐるみのクマのようなモノが濁ったソウルジェムを持って入って来た。
「あれは!? 双樹のソウルジェム!?」
「みらいの魔法…、ラ・ベスティアか!」
 クマ達が持ってきた無数のソウルジェムが放たれ、途端濁りきったソウルジェムが一斉に孵化して魔女が生まれた。
 魔女達はまるで魔女・サキを抑え込んでいるカンナとカンナが乗っているオオカミの魔獣を守るように陣取った。
「魔女達がサキを守ろうとしてる!?」
「アハハハ! アイツってばどれだけサキが好きなんだ? でも、まっ、ちょうど良い。メインディッシュの時間だよ! 私のオオカミさん。」
「お願い、カズ、やめて!」
『…もう、話し合いは終わった。かずみ。戦って示せ。オレに、お前の決意を。」
「っ…。」
「かずみの手を汚させない! 海香!」
「ええ!」
「ま、待って!」
 しかし、すぐさま変身したカオルと海香は、魔法の連携によって、魔女軍団を次々に撃破していった。
 かずみは、魔女軍団の中心にいる、カズとカンナを見て、やがて決意したのか、チリンッと耳にあるピアスを鳴らして変身した。
「カズーーーーーーーーーー!!」
 かずみが分身し、魔女軍団を次々に倒していく。
 三人の猛攻により、カンナとカズへの道が開いた。
「私が、やる!」
「かずみ!」
「それが…、『かずみ』として生まれた私のケジメだよ!!」
『……カンナ。手を出さないでくれ。』
「…分かった。」
 カンナが魔女・サキに乗り、カズから離れた。
 バサリッと広げた翼から羽が弾丸のように放たれる。それがかずみの分身達を貫き、本体であるかずみの肩や足にも刺さった。
 動きが止まったと同時に、カズは、口を開け、火球を発生させて放った。
 かずみは、バリアの魔法でそれを防ぐが、超高熱の火球の熱風を全て防ぎきれず、体が薄く焼けた。
『本気で、来い!』
 カズは、その巨体からは想像も出来ない速度で迫り、再び前足の片方を振り上げて、かずみを踏みつけた。
「がっ、はっ!?」
「かずみーーー!!」
『?』
 カズが違和感を覚え、足をどかす、次の瞬間、ドスンッと背中に衝撃があった。

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