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ヒュアデスの銀狼
SS11  ヒュアデスのフェンリール(銀狼)
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「さあ、かずみ! いっしょに行こう! 私達と新世界(ネクストステージ)へ!」
「…いやだ。」
 カズの足の下にいるかずみが拒否した。
 途端、カンナの顔が歪む。
「私は…、海香やカオル…、トモダチのいない世界には行かない。」
「トモダチ? 何を言ってる!? アイツらにとって君は代用品だ!」
「違うもん!」
 かずみがカンナの言葉に強く反論する。
「友情を感じた! 友情を信じられるから私は…、死を選ぶことが出来たんだ!!」
 次の瞬間、パアンッとかずみの破戒の魔法が発動し、かずみを閉じ込めていた爪とカズの前足の片方が途中まで無くなった。
 かずみの体が海香とカオルの方へ飛ぶ。そして、海香とカオルがかずみに駆け寄った。
 それを見つめながら、カズは、壊された片足をあっという間に修復した。
 かずみが笑顔だ。
 カズは、グッと唇を噛んで、しかしふ〜っと息を吐いて、表情を無にしてやがてオオカミの顔になった。
「カンナ! カズ! あたし達が重ねた罪は一生かけて償う! だから、もうやめてくれ! 人間を滅ぼすなんて意味が無い!」
「かずみの魔女化が進んでる。今はかずみを助けることがあんた達にとって!」
「黙れ! お前達に何が分かる!? 自分が作り物だと気づいたときの絶望が、どれほどのものか! そして、お前達の望みに叶わなかったからと殺された奴の気持ちが!!」
『カンナ…。』
「…何度だって謝る。」
「はっ?」
「かずみに拘るあまりに、無かったことにしてしまい、そしてそんな自分の記憶すら改ざんして、あなた(カズ)を亡き者にしたこと…。どれだけ綺麗事を並べたって無意味なことは分かってる。でも…! 謝らせて! ごめんなさい! 私達が悪かったから!」
「お前ら…、今更…!」
 カンナが怒りに顔を歪める。
『もういい…。』
「カズ?」
「…カズ?」
 カンナが訝しみ、倒れているかずみが悲しそうにカズを見た。
『分かってたはずだった。かずみがプレイアデス聖団を選ぶことを。けれど、どこかで期待していた。オレ達を選んでくれるかもしれないことを。……かずみ。』
 枝分かれしている尻尾の一本が、一瞬のうちにかずみに触れた。
「なにを!?」
 焦った海香とカオルだったが、かずみの体の痣と変色し始めていた肌が元に戻った。
「カズ! それは…!」
『ぐっ…。』
「うぅ…。あれ?」
「かずみ?」
「かずみの体から穢れが…消えた?」
『かずみ。もう一度だけ、聞く。オレ達と来ないか?』
「……ごめんなさい。私、行かない。」
 立ち上がったかずみが悲しそうにそう言った。
『そうか。それがかずみの決意か…。』
「ねえ、カズ…、ううん
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