暁 〜小説投稿サイト〜
ある晴れた日に
201部分:さくらんぼの二重唱その十九
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

さくらんぼの二重唱その十九

「何でなんて?護衛役によ」
「わかってるからよ」
 未晴は正道のその言葉に微笑んでから答えた。
「だから。一緒にね」
「帰ろうって声かけたのかよ」
「どういうわけかわからないけれど」
 今度はこう前置きしてきた。
「安心できるし」
「安心!?」
「そう、音橋君がいてくれたら」
 こう言うのである。
「隣にね」
「俺なんかでいいのかよ」
「いつも咲達と一緒じゃない」
「ああ」
 このグループが壊れることはなかった。やはり女同士の絆には強いものがある。それは未晴にしろ同じで彼女もその中にいるということなのだ。
「その時も安心できるけれど」
「俺と一緒にいる時もってことかよ」
「そういうこと」
 そしてまた正道に対して言った。
「その時とはまた別の感じでね」
「とにかく信頼されてるって思っていいんだよな」
 正道はこう捉えることにした。
「それってよ」
「そう考えてもらっていいわ」
 未晴もそれでいいと返す。
「それでね」
「そうか。じゃあそう考えるな」
「ええ」
「そんなこと言われたのははじめてだな」
 正道は自分の言葉に感慨を込めた。
「そんなことってな」
「そうだったの」
「女の子と付き合ったことはあるぜ」
 正道は自分の過去のことも話した。
「これ今まで言ったことなかったけれどな」
「私も聞いたのはじめてよ」
「けれどあったことはあったんだよ」
 そのことをあえて言うのだった。
「中学の頃な。けれどそれでもな」
「そういうことはなかったのね」
「そこまで言われたことはないな」
 また言った。
「けれど。悪い気はしないな」
「よかった」
 未晴は今の正道の言葉を聞いて笑顔になった。
「そう言ってもらって」
「いいのかよ」
「私も。言われて気分がよくなることはあるから」
「それが今の俺の言葉ってわけかよ」
「そういうこと。それでね」
「ああ」
「また。いいかしら」
 また正道に顔を向けて問うてきた。
「こうして一緒に歩いてもらって」
「そっちさえよかったらな」
 これが彼の返事だった。
「俺の方は何時でもいいさ」
「有り難う。だったらまた」
「また今度な」
「今も。御願いね」
 話を今の時点にも言及してきた。
「今もね」
「今もかよ」
「このまま。歩いていたいから」
「それで何処まででいいんだ?」
「何処までって?」
 正道の言葉に対して問うた。
「それって」
「だから。そっちの家までか途中までか」
 正道はストレートに未晴に尋ねるのだった。
「どっちなんだ?俺はどっちでもいいんだけれどな」
「どっちでもって」
「護衛役は最後まで守るのが仕事だけれどな」
 言いながらその顔を正
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ