第2章 項羽と劉邦、あと田忠 〜虞兮虞兮、奈若何〜
第9話 それいけ!韓信
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っという間に征服してしまった。韓信ェ。
ただし、?食其は釜茹でにされた。おこなの。
L月&日
逃れた斉の田広たちは楚に救援を求め、楚は将軍龍且を派遣する。が、勇気100倍の韓信は水攻めでこれも破った。これらの功績により韓信の名声は極まったと言っていいい。最近活躍していない俺よりも上だろう。
韓信は劉邦に自らを斉王にするように要請して、これを認められた。ここに至り、韓信は劉邦の将軍というよりも一つの独立勢力としての立場を築くことになった。
すべては、愛する人と結ばれるため。
いじましいやつだ。あれから、何度か韓信と女将軍の間で何度か文のやり取りをしているが、彼女も満更でもないらしい。けれども、項羽に忠誠を誓っているので苦しんでいるようだ。
★月K日
?通は韓信に対し、自立して天下を三分するべきだと説いたそうだ。でも、韓信はあっさりと断った。劉邦への恩義というよりは俺との敵対を避けるためだそうだ。友情もあるが戦って簡単に勝てるとは思えないからだと。それには、?通も納得するしかなかったそうな。
なんで、いちいち俺に報告するかね。まあ、それだけ信用している証だろうけどさ。
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俺は秦の時代から専用の軍楽隊を率いている。真似した連中もいたが、うまくいかず無用の長物として廃れていった。
ところが、俺の逸話を聞いた韓信が羨ましがったので、奴の軍楽隊の創設に協力してやった。
それだけではなく、韓信は、ありきたりな軍歌ではなく自分専用の歌が欲しいという。
まあ、俺専用の軍歌があるからね。真似したいというから、前世の歌を教えてやった。
「天上界にて哀と勇気のみを友とした孤独な英雄の歌である」と言ったら、喜んでいたよ。
韓信もぼっちだから気に入ったのかも。……や、冗談のつもりだったんだけどな。
◆
今日も韓信の軍は破竹の勢いで進撃していく。
すべては己の野望――思いを寄せる項羽軍の将軍と結ばれるため。
もはや項羽にとって最大の敵は田忠ではなく韓信となりつつあった。
一糸乱れぬ軍勢が高らかに歌いながら行軍していく姿は、敵の士気を挫き、味方の士気を高めたばかりではない。その雄姿に感化された民衆からの支持まで得られたのだ。
韓信としては高笑いが止まらない。仙人の田忠から聞いた、天上界にいるという庵範男を称える歌を参考にしたものだが、彼は大いに気に入っている。
韓信の歌を聞いただけで敵軍は恐れおののき逃げ出していくのだから、さもありなんである。
『そうだ 嬉しいのだ 生きる喜びを感じて
たとえ 胸の古傷が痛んでも
なぜ生まれ 何をして生きればよいのか
答えを返すことができぬ それはとても嫌なこと
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