SS8 オオカミは、キョウダイを殺す
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そこから顔を出し、カズがオオカミの顔から、自分の顔へと顔だけ変化させて見せた。
「ーーーー!?」
眼前で見せられたカズの顔を見た里美の顔があっという間に驚愕と恐怖に染まった。
「あ…イヤアアアアアアアアアアアアアアア!?」
ポロリッと落ちた里美のソウルジェムが、グリーフシードへと変じた。里美の最後の悲鳴は、自分が魔女になるのを自覚してのことだった。
「里美!?」
ピィイイイイイイイイイイイっと、魔女本体の上にある巨大な笛が鳴り響く。
それは、里美が願った動物との対話能力の影響だろうか。それによって得られた相手を操る魔法なのだろうか?
カズは、オオカミの魔獣へと変じて結界から飛び出した。
「オオカミ!」
魔女・里美とかずみの間に、まるでかずみを守るように立つ。
その間に、かずみの後ろから迫った残るかずみの失敗作達を、長く伸ばした尻尾でなぎ払った。
『手を汚すのは……。』
カズは、歯を食いしばった。
『オレだけでいい…。』
「どうして…?」
へたり込んでいるかずみが自分を守るオオカミの魔獣を信じられないモノを見る目で見つめる。
魔女・里美によって生成された猫のような使い魔の軍勢が現れ、カズに襲いかかった。
カズに群がった使い魔達が爆発する。爆風が晴れると、無傷のオオカミの魔獣・カズがいた。
魔女・里美はそれに驚愕したのか、鳴き声である笛の音が動揺するように震えた。
カズは、角を突き出して突撃し、猛牛のように突き上げ、魔女・里美を放り上げた。
斜め後ろへと放られた魔女・里美の巨体が、かずみの失敗作を潰した。
「ぁ…。」
かずみは、自分の失敗作が死んでいることに気がつき我に帰った。
「や…やめて、やめてーーー!!」
しかし、カズは、かずみのその悲鳴を無視して、魔女・里美に襲いかかる。
檻のような胴体を引き裂き、中にいた里美の本性と思しき震えるぬいぐるみのようなモノを踏みつけ、噛みちぎり、かずみの失敗作達の合体魔法を睨んだだけで張ったバリアで防ぎ、魔女・里美が落としたグリーフシードを喰らい、残された里美の遺体を踏み潰した。
すると、カズの体がザワザワと震えだした。
カズの体が一回り巨大化し、尻尾がコードのように数本に分かれた。進化したカズは、四枚に増えた翼を広げ、羽根を弾丸として発射し残る失敗作達を貫いて殺した。それでもなお生き残った失敗作は、踏み潰し、残りをかみ砕いた。
頭を抱えたかずみが狂乱したように泣き叫んだ。
途端、かずみの耳に付いているピアスがチリンッと鳴り、途端、かずみの体が変化した。
ドロン…っと、それは魔法少女ではなく、魔女のような姿。グネグネとした触手のように黒く変化した手足とマントが
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