誇りの在り処
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えてみる。
何かがおかしい。
ルイズが待ってほしいと言った?
でもワルド子爵は婚約者本人の嘆願にも関わらず、それを無視して、よりにもよってこの戦場のど真ん中になるニューカッスル城で結婚式を挙げる?
それも、わざわざウェールズ皇太子に媒酌人をお願いして?
……この不自然さは、いったい何?
「…………ルケ」
子爵は、いったい何をこんなに焦っているの?
「……キュルケ」
子爵の狙いは……、何?
「キュルケ!」
はたと我に帰ると、鳶色の瞳がドアップで見えた。
近い近い。
「な、なによ?」
「急に黙り込んで、何考えてんのよ。
いいから、いい加減にこの腕から解放してくれない?」
「……あら、ご挨拶ね。自分から飛び込んできておいて」
ぼ、っとルイズが真っ赤に染まった。
「あなた、なかなか可愛い顔も出来るんじゃないの。
いつもそれくらいしおらしくしてたら、あっという間に男が落とせるわよ?
もったいないわね」
「お、大きなお世話よッ!!」
「大きなお世話ついでに、ちょっと宿敵として忠告しておくわ」
「なによ!」
「恋愛は感情によって、結婚は理性によって、って格言はご存知?
この男になら、自分の一生を任せられる。
そう理性で納得できないと、結婚したってろくなことにならないものよ」
「……? なんのことよ?」
つまりね、と前置きする。
「あなたが子爵に自分の人生を任せられないと思うのなら、明日の式ではっきり断っておあげなさい、ってことよ」
ルイズは、顎を落として唖然としていた。
こういう顔でも絵になるわね、この子。
得よね。
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